「ある天文学者の恋文」 銀河ほどに離ればなれでも想いは届く [ネタバレ注意] [映画の感想]
映画配給会社ギャガが運営する動画配信サイト【青山シアター】のオンライン試写会で、ギャガ株式会社(GAGA Corporation)配信の映画『ある天文学者の恋文』を観ました。
以下、ネタバレ注意願います。
★ あらすじ
老齢の天文学者エドと、その優秀な教え子エイミーは密かに愛し合っていた。エドには妻子があり、また世界各地で講演・講座を行っていたので、二人が会える機会はとても少なかった。そんな不満を抱えているせいか、エイミーはスタントウーマンとして過激な、危険なスタントのアルバイトに明け暮れていた。彼女の無鉄砲さには隠された理由があったのだが。
満足のいく状況ではなかったものの、いやそれ故になおさら、彼らの愛は深いものになっていた。だがそんなある日、海外で講演をしているはずのエドが亡くなったことをエイミーは知る。実は、エドは以前から不治の病に冒されていたのだ。エイミーの前では全くそんな様子は見せていなかったのだが。
でも、不思議なことに、亡くなったはずのエドからメールが届く。しかもビデオメッセージまで。ほんとうにエドは死んでしまったのか。信じられなくなったエイミーは、エドの自宅の前まで来てしまう。もちろん、そこにはエドの家族が暮らしていて、エイミーが彼らに話を聞く訳にはいかない。エドには自分と同じ歳の娘までいるのだから。
そして、その後もエドからのメール、ビデオメッセージ、直筆の手紙がエイミーの元に届けられ続けたのだった。彼女はその「謎」を知るべく、エドとの愛を育んだ、エドの別荘へと一人訪ねていった。そこでエイミーは、エドの愛情の深さを改めて知ることになるのだった。
★ キャスト&スタッフ
- 出演 : オルガ・キュリレンコ、ジェレミー・アイアンズ
- 監督 : ジュゼッペ・トルナトーレ
- 脚本 : ジュゼッペ・トルナトーレ
- 音楽 : エンニオ・モリコーネ
★ 感想
天文学・宇宙物理学の話がちょこちょこ出てきます。初めは、“堅物の学者”っていうステレオタイプを示したかったのかと思ったんですが、さすがは「ニュー・シネマ・パラダイス」の監督ジュゼッペ・トルナトーレが自ら脚本を書いただけのことはあります。話はそんな単純なものではなかった。空に煌めく星々、望遠鏡で観る銀河・星雲。その光が星から放たれたのは何年、何百年、何万年も前。星々の光が地球に届くまでにそれだけの時間が掛かってしまっている。だから、今眺めている星や星雲は、この瞬間にはもう存在していないかもしれない。我々は過去を眺めているのだ。
そう、エドからのメッセージも然り。天文学者の設定はそのための長い長い前振りだったのかもしれない。
余命幾ばくもないエドが執念を燃やしてエイミーにメッセージを残す姿は、それが不倫だとか、ストーカー行為に通じなくもないとか、非難されるべき点は多々ある。だが、ここまで純粋に人を愛せる、そして命を削ってまで夢中になれるものに巡り会った彼のことを素直に羨ましいと思ってしまった。
星はその死を迎える時、超新星爆発を起こし、ひときわ輝く。昼間でも見える程に明るくなるものもあるそうだ。そしてすぐに暗く静かな死へと進んで行く(一部には、パルサーやブラックホールになる派手な末路もあるようだが)。そんなさいごの輝きだったのだろうが、それでもうらやましさに変わりは無い。
「ニュー・シネマ・パラダイス」ではラストシーン(キスシーンを集めた映像を観る主人公の場面)で泣かされてしまったが、今回の作品は温かな気持ちで観終わった。お伽噺なのだろう、きっと。
これから秋に向かって人恋しくなる季節。おすすめの一本です。
★ 公開情報
- 公開日 : 2016年9月22日から順次
- 映画館: TOHOシネマズ 六本木ヒルズなど、全国でロードショー
- 公式サイト : 映画『ある天文学者の恋文』公式サイト
★ 原作本
電子版
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大いに興味ありです。
by JUNKO (2016-09-11 19:58)
JUNKOさんへ:
主役のオルガ・キュリレンコの一人芝居がとってもグッドです。おすすめですよ。
by ぶんじん (2016-09-12 14:38)