SSブログ

「世界報道写真展2016」 を観に、リニューアルオープンした東京都写真美術館へ行ってきました [美術 : 美術展、写真展紹介]

IMG_20160910_112737.jpg

★ 東京都写真美術館リニューアルオープン

設備改修のために一時閉館となっていた東京都写真美術館がやっと、リニューアルオープンしたので、早速行ってきました。
日本語名は変わらないんですが、英語名がTokyo Photographic Art Museumとなり(前、どうでしたっけね?)、略称は“TOP”となったそうです。ロゴも新しくなってました。

展示室がきれいになって、なかなか良い具合です。カフェもお洒落になっていたし、ミュージアムショップも二階玄関側に移ってオープンな感じになってました。
残念なのが、友の会が解散となってしまい、内覧会などのない普通の年間パスポートだけになっちゃったこと。面白かったんですけどね、写美の内覧会・勉強会。残念です。とりあえず、年間パスポートはゲットしてきましたが。

さて、そんなリニュアルした TOP で今やっているのが「杉本博司 ロスト・ヒューマン」展と、「世界報道写真展2016」。どちらも観てきましたが、今回は後者のご紹介。

★ 展示内容

昨年は写美が改装中だったので、別の場所で開催された本展(「世界報道写真展2015」 : 今年は池袋の東京芸術劇場で開催)、今年は例年通りに写美に戻ってきました。
さて、世界報道写真展はWorld Press Photo(世界報道写真財団)によって行われるコンテストの入選作品を集めた写真展です。その名の通り、報道写真を対象にしたコンテストで、前年(2015年)に撮られた作品が中心となっています。「スポットニュース」や「現代社会の問題」など、八つの部門が設けられ、それぞれに単品作品・組み作品から選ばれるのです。その全ての作品の中で一点、大賞も選ばれます。今年は、オーストラリアのウォーレン・リチャードソンによる、セルビアとハンガリーの国境を越えようとする難民の男性と子どもを撮った一枚が選ばれていました。有刺鉄線の張り巡らされた国境越しに子どもを手渡す男。その緊張の一瞬を捉えた作品です。

大賞をとった作品だけではなく、今年は「難民 “Refugees”」の文字があちこちに。
セルビアの難民キャンプで、申請登録を待つ雨合羽の女の子。どう見ても荒波を越えられるとは思えない、ぎゅうぎゅう詰めになった難民船。長い間歩き続けてきたのだろうか、とにかく眠れるところを見つけ、眠りにつく子どもたち。

戦争・紛争・内戦・テロも相変わらずだ。火傷の治療を受けるIS(イスラム国)の少年兵がいたかと思うと、爆撃で全身に酷い火傷を負ったのに、満足に治療も受けられない少女は、反乱軍が占拠した地区に住んでいたためにこんなことになってしまった。爆撃をしたのは政府軍機。彼女にはこれっぽっちの罪もなかっただろうに。

ギャングの抗争も似たようなものだ。ホンジュラスはこの十年間、殺人事件の死者数が世界一多い国であり続けている。頭から血を流して死んでいる男のそばでは、ほとんど無関心とも思えるような表情で軍人(警官?)たちがたむろっていた。

長期取材の部では、米軍内でのレイプ被害者を取材した作品があった。アメリカでもまだこんな調子なのか。レイプ被害を受けても指揮官に訴えることは困難。トラウマを抱え、自殺をする女性も多い。長期に渡って精神的問題が続き、普通の生活が送れなくなってホームレスになってしまった人も。
取材する側も精神的にかなりタフじゃないと厳しそう。

自然の部では、色鮮やかなカメレオンが目を惹いた。その美しさにしばし、気が休まる。だが、そのカメレオンも絶滅の危機に瀕しているとのこと。

世界は相変わらずだ。

★ 感想

もう書くのも嫌になるほど、毎年同じことを言っている。世界に争いが絶えることはないのだろうか。そうすることはできないのだろうか。。。

今年の報道写真展は特に辛い写真が多かった。子どもたちが巻き込まれた場面は厳しい。怯えきった目でこちら(カメラ)を見ている少女。視線をそらすことができなくなるほどだ。
父親に抱かれた子どもはもう動かない。血まみれだ。

見続けねばならないのでしょう、きっと。目を逸らしてはいけない。


写真の持つ力を実感させてくれる企画展です。観るべきでしょう。

★ 美術展情報

「世界報道写真展2016」は下記の通り、開催中。
  • 会期 : 2016/09/03(Sat) - 10/23(Sun)
  • 開館時間 : 10:00 - 18:00(木・金曜日は20:00まで)
  • 休館日: 月曜日 (9/19,10/10開館 9/20, 10/11急患)
  • 料金 : 一般800円 学生 600円 中高生・65歳以上 400円 小学生以下 無料
  • 巡回 : 京都(6/3-6/25)、滋賀(6/27-7/8)、大分(7/11-7/24)、福岡(7/27-8/7)、大阪(8/9-8/18)、埼玉(10/25-11/6)
  • 公式サイト : 世界報道写真展2016
  • 図録 : 「世界報道写真展2016 WORLD PRESS PHOTO 16」 2,800円 発行 世界報道写真財団





nice!(10)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:アート

nice! 10

コメント 2

TaekoLovesParis

写真美術館、改装終わったんですね。カフェもきれいになりましたか。さっそく行ってみます。報道写真展、胸に迫るものがありますね。以前は、チケットを毎回いただいていたので見に行ってました。
by TaekoLovesParis (2016-09-22 17:11) 

ぶんじん

TaekoLovesParisさんへ:
日頃、フラフラして遊んでいる私は、毎年見続けるのが義務のように感じてます。
by ぶんじん (2016-09-22 19:37) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。