「あしたのジョー、の時代」展 : 日本国中、ハングリーだったんだなぁ、あの時代は [美術 : 美術展、写真展紹介]
★ 「あしたのジョー、の時代」展 開会イベント
WindamArtPRさんの招待で、「あしたのジョー、の時代展」 7/20から練馬区立美術館で開催 : 理不尽をぶっ飛ばすヒーロー願望の記事でも紹介した「あしたのジョー、の時代」展 に一足先に行ってきました。そして、開会式にも出席、ちばてつやさん(!!)らの挨拶を生で聴いてしまったのでした。開会イベントは練馬区立美術館館長 若林さんの司会で進行。VIPのみなさんの挨拶が続きました。
まず登壇したのは練馬区長の前川さん(世田谷区民の私にはお初にお目にかかります、という感じではありますが。。。)。区長さんのお話では、「練馬区はアニメの街。関連企業が多数ある。そしてなによりも、アニメ発祥の地でもある。」「この企画展を先に見せてもらったが、青春時代を思い起こさせてくれた。今の時代と比べてみるのは意味があるだろう。」とのこと。あとで知りましたが、練馬アニメーションサイトなんてWebサイトも立ち上げているんですね。
亡くなられた原作者の梶原一騎さんの奥様も挨拶されていました。「次の世代に語り継いで欲しい作品だ。梶原作品の中では(ちばてつやさんが描いた)ジョーの顔が一番好き。」とのこと。
そして、ちばてつやさん。「自分の作品の、この手の企画展はこれまで見ないできた。自分で描いたものを見ると、どうしても描き直したくなるから。今日もちょっと見て、「ここは。。。」なんて思ってしまった。とはいえ、(企画展開催は)うれしい。梶原さんもきっとここに一緒にいてくれている。」
私のように、ブロガー枠で招待された人もいたでしょうが、大半は業界関係の方々のようでした。それも、私よりも年配の人が多かった。「あしたのジョー」の連載が1967年から1973年。その頃に青春時代を過ごされ、この物語に熱い想いを持った方々なのでしょう。私はそれよりも数世代あと。安保闘争も学生運動も実体験としてはないですからねぇ。
でも、そんな私でもあしたのジョーはアニメ作品として見て、知っていたくち。"貧困や差別から拳ひとつで抜け出すんだ!"という、ストレートなメッセージは子どもながらに強烈なイメージを感じましたよ。
★ ジョーの生きた時代、日本は
開会式のあとはフリーの鑑賞タイム。その間もロビーでは立食形式での懇親会が催されていました。さて、今回の「あしたのジョー、の時代」展ですが、企画を担当した学芸員きたさんのお話では、
- 第一章 「あしたのジョー、の世界」 : 「あしたのジョー」の作品そのものを紹介。原稿・原画や当時の雑誌、アニメがどどーんと展示されています。
- 第二章 「あしたのジョー、の時代」 : その時代の事件や社会の様子を紹介。
- 第三章 「あしたのジョー、肉体の叛乱」 : 「あしたのジョー」も肉体と肉体がぶつかり合う作品。同じ時代の、肉体をストレートに使った表現芸術を紹介。
- 第四章 「あしたのジョー、あしたはどっちだ」 : 「あしたのジョー」のオマージュ作品を各界のみなさんがこの企画展のために作成。
原作の漫画を読んだことが実はなくて、初めて読んだのがこの生原稿という、自分にとっては貴重な経験となりました。初期の頃のジョーはずいぶんと可愛らしい顔つきをしていたんですね。カーロス・リベラやホセ・メンドーサと対決する時期のジョーがイメージに焼き付いているので、「ジョーも幼かったんだなぁ」と変に感慨深く見入ってしまったのでした。
「あしたのジョー」の時代、日本は安保闘争や学生運動で大いに荒れていた頃。主義主張をストレートにぶつけ合い、内容はともかく、みんなが真剣に明日がどっちなのかを考えていた時代。高度経済成長で勢いづくと共に、格差が広がった時でもある。日雇い労働なんてのが当たり前だった(それでも食べていくことはできた)時代がつい数十年前にあったんだということを思い出させてくれた。そう言えば子供の頃、ラジオの交通情報で「渋谷でデモがあるから渋滞が予想される」なんてのを伝えていた記憶が。日常の出来事だったんだな、あの時代には。
土方巽の暗黒舞踏の映像が流され、舞台衣装(?)が展示されていた。なんと言っていいか、、、、メッセージは全く分かりません。でも、迫力は満点。圧倒されます。
ある作品と、その時代の他の作品を合わせて展示する同時代展、面白いものですね。その作品がその時代を良く反映していることも分かるし、時代性を越えて今に通じるメッセージも逆に見いだすことができるし、視点を変えた多面的な見方ができた感じ。やっぱり面白い作品だったんですね「あしたのジョー」は。
実は私の奥さんも「あしたのジョー」の大ファン。一緒に行きたがったんですが用事があってダメに。なのでまた日を改めて観に行くことにしています。私ももう一度観たいし、この日はまだ販売を開始していなかった記念グッズもチェックしたいし。
ということで、おすすめの企画展です。
「あしたのジョー、の時代展」の概要は以下の通り。
- 会期 : 2014/7/20(Mon) - 9/21(Sun)
- 休館日 : 月曜日 ただし、7/21,9/15は開館、翌日休館
- 開館時間 : 10:00 - 18:00 入館は17:30まで
- 観覧料 : 一般500円 大学・高校生300円 中学生以下無料
- アクセス : 西武池袋線「中村橋」駅下車徒歩3分
- 公式サイト : あしたのジョー、の時代展:練馬区公式ホームページ
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