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「ストラスブール美術館所蔵 語りかける風景 コロー、モネ、シスレーからピカソまで」展 [美術 : 美術展、写真展紹介]

送信者 ドロップ ボックス

例によって渋谷Bunkamuraでやっている「ストラスブール美術館所蔵 語りかける風景 コロー、モネ、シスレーからピカソまで」展に行ってきました。ストラスブールは、フランス・アルザス地方の都市。ドイツにも近く、ローマ時代から栄えた由緒正しい街。現在はEUの議会や欧州人権裁判所などが置かれているので、ニュースで名前を聞くことも多いかも。その街にある美術館の収蔵品を展示したのが今回の美術展。フランスやドイツ、ロシアの世紀末(十九世紀末)から戦前にかけての作品が中心。そして、地元アルザス地方の画家の作品も多く、初めて名前を聞く人ばかりでしたが、アルザスの風景を描いたそれらの絵は心癒されるものばかりでしたよ。
私がアルザスに出張で一ヶ月ほど滞在したのは遙か昔、バブルの頃。週末に何度かストラスブールに遊びに行き、有名な大聖堂も見てきました。ちょっとの間だったけど、今でも楽しい、きれいな想い出として残っている街です。そんな思い入れもあるので、今回の展示会は懐かしさも手伝ってずいぶんじっくりと見てしまいました。

どれくらい知らない人・作品ばっかりか、いくつか展示されている作品名をあげると・・・
 ・”アルザスの印象派”と呼ばれているロタール・フォン・ゼーバッハの「屋外、バルコニーの女性」
 ・アルザスの日常風景を得意としたジョージ・ジョーンズの「ストラスブールのグーテンベルク広場」
 ・アルザスの雄大な自然を描いたアンリ・ジュベールの「ヴュー=フェレットの羊の群れ」
などなど。どの絵もよかったですよ。アルザスの美しい景色や、中世の面影を残したストラスブールの街並みはそれだけで絵になるんでしょうね。そんな題材を得て、画家達は思い思いの流儀や手法でそれを描いていったという訳です。
こんな感じで、画家や作品自体のネームバリューが今ひとつのため、展示の仕方も
Ⅰ 窓からの風景
Ⅱ 人物のいる風景
Ⅲ 都市の風景
Ⅳ 水辺の風景
Ⅴ 田園の風景
Ⅵ 木のある風景
という分類。なんとも分かり易いですね。絵画史や美術のテクニックなどを知らなくても、これならば素直に楽しめます。こういうのも悪くないですよ。

個人的に気に入ったというか、気になった作品は、エミール・オットン・フリーズの「フランス軍のストラスブール入城、1918年11月22日」。フランスとドイツの国境にあるアルザス地方、そしてストラスブールは、はるか昔からいろいろな国にとったりとられたりを繰り返してきた。この時はまたフランスになった時だったんですね。前に読んだ「アルザスの言語戦争」を思い出してしまいましたよ。彼らはフランスでもドイツでもなく、アルザス人としてのアイデンティティと文化を持っているんだぞ、ということを。
今回の展示品も、最初に書いたようにフランスとドイツ双方の画家達の作品が並んでいる。文明の十字路であるアルザス・ストラスブールの特徴をそれだけでも感じ取ることができるかも。と言う訳で、思った以上にいろいろと楽しめた美術展でした。ちょいと予習をしてから観に行くことをおすすめします。

会期 2010/05/18(Tue) - 07/11(Sun)
開館時間 10:00-19:00(入館は18:30まで)
毎週金・土曜日21:00まで(入館は20:30まで)


いつものように、ドゥ・マゴ パリでは美術展にちなんだ料理を出していました。今回は「キッシュとシュークルートのプレート」1,680円(税込み)。ドイツでいうとザッハ・クラウト。酢漬けキャベツを煮た奴ですな。フランス語読みだとシュークルート。私、これ好きなんですよ。アルザス出張に行ったときに山ほど食べて(あちらでは大皿に山盛りで出て来ます)気に入っちゃったのでした。今回は一口サイズだったけど、懐かしい味でした。
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コメント 7

Ranger

コロー、モネ、シスレー、ピカソの風景ですかぁ
行きたいなぁ

お料理、美味しそう^^
by Ranger (2010-06-01 11:04) 

ぶんじん

Rangerさんへ:
自分が行ったことのある場所だと、風景画も急に親近感が湧きます。でも、これだけ一杯まとめて観たのは久しぶりだったかも。
by ぶんじん (2010-06-02 21:20) 

カエル

絵画みたいですー。
ドゥ・マゴ パリ好き!
でもいつもドリンクのみで、
食べた事無いことに今気づきました。
by カエル (2010-06-07 17:54) 

ぶんじん

カエルさんへ:
フランスパンのサンドウィッチ、どうやって行儀よく食べればいいのか悩みます。ぜひ、挑戦を!
by ぶんじん (2010-06-14 20:12) 

TaekoLovesParis

ストラスブール、いい街ですよね。私も一泊旅行で行きました。
かわいい町並みだけど、歴史的には大変で、自分たちのことは「アルザシアン」とよんでいると、歴史博物館の説明に書いてありました。近代美術館がとってもよかったです。だから、この展覧会の前売り券を買ってあります。風景画は、長く滞在なさったぶんじんさんには、懐かしい景色だったことでしょう。
<アンリ・ジュベール>、この名前は、一昨日初めて知りました。国立新美術館の「オルセー展」に、結構大きな日傘をさした若いマダムの肖像画があったんですよ。
ドゥ・マゴのランチ、あちらの分量の半分ですよね(笑)。ぶんじんさん、これじゃ足りなかったのでは?
by TaekoLovesParis (2010-06-14 22:18) 

ぶんじん

TaekoLovesParisさんへ:
オルセー美術館展も行きたいなぁ。アンリ・ジュベールさん、有名だったのか。知らぬは私だけ?
ダイエット中ですから、この程度で充分です。。。本当はこの皿くらいの大きさのキッシュでもよかったんですが。
by ぶんじん (2010-06-26 23:08) 

TaekoLovesParis

「ストラスブール美術館展」、行きました。
アンリ・ジュベールの「ヴュー=フェレットの羊の群れ」、画面の3分の2が、空と雲。雄大な景色、空気が澄んでいることが伝わってくる良い絵でした。ジュベールは、ZUBER だったんですね。私がオルセー展で見て、気に入った人は、
Henri Gervex、全くスペルが違ったのに、間違えてコメントして、ごめんなさい。
by TaekoLovesParis (2010-07-18 08:32) 

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