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試写会で「ハンティング・パーティ」を観てきました [映画の感想]

息子と一緒に試写会に行ってきました。観たのはリチャード・ギア主演の「ハンティング・パーティ」。

映画の舞台はボスニア・ヘルツェゴビナ。この前、市ヶ谷にある大使館を見てきたばかりの国だ。死者20万人、難民200万人の被害を出したボスニア・ヘルツェゴビナ紛争。”民族浄化”という言葉を生んだあの内戦、虐殺の地だ。そんな紛争後に戦争犯罪人として国際手配されたラドヴァン・カラジッチをモデルにした”フォックス”を追いかけたジャーナリストたちの物語がこの作品だ。
リチャード・ギア扮する主人公は、相棒のカメラマンと戦地を走り回り、ドキュメンタリー映像とレポートを配信し続けたジャーナリスト。各地でスクープをものにしてきたベテランだ。だが、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争のレポートの生放送で“キレて”しまう。酔っ払って出演し、戦争の愚かさを訴え、国連軍を非難し始めたのだ。それには理由があったのだが、当然テレビ局をクビになる。それからの彼はフリーのジャーナリストしてさらに危険な場所に入り込み、記事を各国の報道機関に売り込むようになる。そしていつか生死もわからなくなってしまった。
相棒のカメラマンは出世街道を突き進み、N.Y.で優雅に暮らしていた。が、戦後のボスニア・ヘルツェゴビナ取材のためにこの地に戻ってきたとき、しんだと思っていたリチャード・ギア扮するジャーナリストに再開するのだ。彼は「とびっきりのネタがある」と、かつての相棒に売り込みをかけてきた。はじめは拒否していた元相棒だが、戦地の取材の高揚感を思い出し、今の生活を忘れてその話に乗ってしまうのだった。
そのネタとは、国連やCIAなどが戦争犯罪人として探し回っているセルビア人指導者のフォックスの居場所だ。フォックスには500万ドルの懸賞金がかけられている。そんなフォックスを取材し、大スクープとしようというのだ。フォックスは、彼を神とも崇める支持者に守られて山の中に隠れているらしい。軍隊やCIAを出し抜いてフォックスに会い、インタビューができれば500万ドル以上の金と、そして名誉が得られる。命がけの仕事だがその魅力にはかなわない。かくして彼らはセルビア人支配地の奥へと車を飛ばし、潜入していったのだ。。。

ダライ・ラマに弟子入りして(?)チベット仏教信者となったリチャード・ギア。そんな彼が戦争犯罪やそれにまつわるアメリカやヨーロッパの国々の陰謀を描いたのがこの作品。セルビア人を危ない連中として描き、フォックスを残虐無比な殺人鬼としているところはだいぶ偏った見方のような気もする。前に読んだ「ドキュメント 戦争広告代理店」を思い出すと、何が真実なのかこの紛争に関してはよくわからない。まあ、だからこそアメリカや国連が戦争犯罪人を探し出そうという努力をしていない、つまりは裏でつながっているという陰謀は本当なんじゃないかと思えるんですが。

でも、映画としてはシリアスというよりはコメディタッチ。笑える場面が多いんです。テーマとのギャップにちょっと戸惑ってしまいますね。リチャード・ギアが「誰も信じるな! (Trust No one!)」と叫んだときには、The X-Filesを思い出してしまい、噴き出しちゃいましたよ。そう、この映画の雰囲気はThe X-Filesに通じるものがあるのかも。エイリアンの存在の証拠に近づいたと思ったらすっと逃げられてしまう。決定的証拠を握ったのに、自分だけしか見ていないで人にはそれを示せない。あのもどかしさは同じテーストかも。

ということで、全体的に胡散臭い感じがするのが逆に惹かれてしまうポイントにもなっている、そんな不思議な映画でした。なかなかおもしろかったですよ。







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