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『~桐村喜世美氏所蔵品受贈記念~岩﨑家のお雛さまと御所人形』展 @静嘉堂文庫美術館 [美術 : 美術展、写真展紹介]

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静嘉堂文庫美術館で開催中の『~桐村喜世美氏所蔵品受贈記念~岩﨑家のお雛さまと御所人形』展 のトークショー&ブロガー内覧会に参加してきました。例によって、特別な許可を得て写真撮影をしています。
以下、トークショーの内容も織り交ぜ、ご紹介。

★ 展示内容

静嘉堂文庫美術館は、三菱第二代社長の岩﨑彌之助氏、その子供である三菱第四代社長岩﨑小彌太氏のコレクションを中心とした美術館です。
今回はその小彌太さんが、奥さんの孝子さんのために、京人形司の老舗 「丸平大木人形店」の五世大木平藏に特注した雛人形を中止とした企画展になっています。
丸平大木人形店は江戸時代に創業した人形の老舗。昭和の初期、二万円を小彌太さんは支払ったそうですが、今の金額にすると一~二億円だそうです!そんな重要文化財並のお雛様ですが、戦後、残念ながら手放してしまい、散逸していってしまいました。
そこを、人形コレクターの桐村喜世美氏がマーケットを探し回って購入した(回収した)ものが今回の展示品。残念ながら全てを取り戻すことはできていないものの、主要なアイテムは見ての通り、揃ってます。桐村喜世美氏は再びこれらが散逸することがないように、静嘉堂文庫美術館に寄贈したのだそうです。

お雛様。玩具でありながら、美術工芸品として高度な域に達した傑作。宮廷装束は本物の素材を使っていて、製作期間は三年間と推測されている。現在では、二億円出しても製作は無理と思われる。
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お内裏様。
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この二体を含め、すべての人形が子供の姿になっている。稚児雛の変わり雛。男雛は皇太子が着る衣装を身につけていて、女雛は十二単だ。
写真では分からないけど、衣装はホントに立派。しかも、これらの人形は関節が可動式になっていて、立たせることもできるのだそう。お雛様、お内裏様をを着せ替え人形のようにして遊ぶことを意図したものなのだろうか。いやぁ、この値段で、文字通りの“子供のオモチャ”にするのは何とも。。。
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三人官女。
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五人囃子。包みを叩いている演者は、気合いが入っているのか、頬が赤らんでいるという細かな表現。
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随身。身の回りの世話をする三人だそうです。五人囃子までは知っていましたが、雛人形のフルセットにはこんな連中もいたんですね。仕事が終わって一休みしている様子だそうです。
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その他の飾り物がすごい!食器のセットや楽器類、茶道具、香道具などなど。小さい分、本物を作るよりも大変そう。
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ふとんや着物まで。
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岩﨑家に飾られていた時の様子が写真に残っています。いかにも立派で広い部屋ですが、そこにどどーんと並べられている人形たち。豪華五段飾り!
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雛人形の他にも、静嘉堂文庫美術館が所蔵している人形たちも展示されています。
こちらは、今度は小彌太さんの還暦祝いに孝子夫人から贈られた、これまた五世大木平藏の傑作「木彫彩色御所人形」。五十八体(六十一人)の御所人形です。小彌太さんは兎年生まれらしく、この人形たちもみんな、兎の面を付けていました。連台に乗っているのが孝子さんだそうです。
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(月の)兎と言えば餅つき。お大尽に供されているけど、この人は小彌太さんじゃないんです。もっとすごい格好をして、超豪華な乗り物に乗っているんですが、それは見てのお楽しみ。
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兎を描いた扇子が、還暦祝いのパーティに出席した人たちに引き出物として配られたのだそうです。
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御所人形たちのデザイン図。設計図ですね。と言っても、これだけでも立派な芸術品です。
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桐村喜世美氏の寄贈品はお雛様だけじゃなかったそうで、こんな武者人形も。
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★ 感想

散逸してしまった人形たち。桐村喜世美氏の尽力で多くを集め直すことができたものの、香道具セットや牛車などなど行方不明も多数。幸いに写真が残っているので、情報があれば美術館に連絡してあげてくださいな。
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人形職人さんたちの技、すごいですなぁ。顔を作る職人さん、衣装を作る職人さんなどなど、分業が進んでいるようです。その道を究めるには必要だったのでしょうが、今の時代まで伝承していくのは大変だったでしょうね。そしてこれからはもっと大変になるのかな。億万長者は現代でもいるけど、雛人形に二億円出す人はそうそういないだろうし。

名工の作品、見ておきましょう。

★ 美術展情報

「岩﨑家のお雛さまと御所人形」展は下記の通り、開催中。




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コメント 4

JUNKO

こんな精巧なお雛様がつくられていたのですね。近くで見たいものです。
by JUNKO (2019-02-02 19:39) 

ぶんじん

JUNKOさんへ:
超絶技巧ってやつでしょうか。本物よりも本物の出来って感じでした。
by ぶんじん (2019-02-02 21:32) 

いろは

こんにちは^^
静嘉堂文庫美術館は何度も訪れていますが、このような催しは知りませんでした。
贅を尽くしたお人形のようですね。着物も素晴らしいことでしょう。
私は三井記念美術館で「三井家のお雛様」を観てきました。
こちらも三井家の夫人や娘さんが大切にしてきたお雛様や雛道具を一堂に集めた展示です。衣装もそうですが、お道具が素晴らしいです。
by いろは (2019-02-03 15:57) 

ぶんじん

いろはさんへ:
三井さんも、三菱さんも桁違いですねぇ。すごいものです。
by ぶんじん (2019-02-03 16:43) 

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