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「ブラジル先住民の椅子」展 @東京都庭園美術館 丸木の一刀彫りってのがダイナミック [美術 : 美術展、写真展紹介]

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★ 展示内容

久しぶりに東京都庭園美術館|TOKYO METROPOLITAN TEIEN ART MUSEUMに行って、「ブラジル先住民の椅子 野生動物と想像力」展を観てきました。
館内は撮影OK。ただし、フラッシュは禁止です。作品類はベイ・コレクション ⓒ BEĨ collection / by Rafael Costa となっています。

公式サイトの説明によると、
ブラジル北部のアマゾン河やシングー川流域で暮らす先住民の人びと。彼らの作る一木造りの椅子は、動物のフォルムや機能的なフォルムに独特な幾何学模様が施されており、ユニークな造形作品として捉えることができます。元々、先住民にとっての椅子は、日常生活の中で使用したり、シャーマンによる儀式や結婚式等の特別な機会に用いるなど、彼らの生活や伝統、独自の神話と色濃く結びついており、コミュニティ内の文化的・社会的なシンボルでもありました。それが今日、コミュニティの外との繋がりから刺激を受けて、自らのアイデンティティを自然を捉える眼に求め、用途や伝統に縛られないより多様かつ自由な表現が生まれてきています。
本展は、ベイ・コレクションによるブラジル先住民の椅子約90点を取り上げ、彼ら独自の感性から生まれた造形に、人間の豊かな想像力の発露を読み取ろうとするものです。
とのこと。
20弱の村々で作られた椅子は、伝統に則っていながらもそれぞれに特徴があり、同じモチーフをベースにしていてもずいぶんと異なった表情を見せているのが楽しい。
どのような村々が椅子を作っているかの説明パネルがあるが、正直、初めましての名前ばかり。こんなにも椅子作りが盛んとは知らなかった。
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展示スペースは本館一階、二階、そして新館に分かれていて、展示構成は以下の通り。
  • Category A : 伝統的な椅子 実用性、しきたりに基づく
  • Category B : 動物形態の伝統的な椅子 村で使用、宗教的効用
  • Category C : 動物彫刻の椅子 先住民としての存在証明、想像力
新館のCategory Cエリアでは、村のアーティストたちの製作風景もビデオで見ることができる。
このビデオ、必見です。各々が斧や鉈を携えて森に入っていき、目を付けた大木をみんなで切り倒します。そして、そこで適当な大きさに丸太を切りそろえ、いきなりその場で椅子作成に取りかかるのです。丸太のままだと重たくて運べないというのがその主な理由。かなりの部分までを鉈やらなんやらで作り上げていくのは驚き。ほぼ形が出来上がった後、やおら抱えて村に戻り、仕上げをしていくのだ。なんともダイナミックな製作方法。

こちらはいかにも椅子。幾何学模様がモダンな雰囲気も出している。ちゃんと窪みまで作られていて、座りやすそう。
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メインのモチーフは生き物たち。ブラジルの森や川、海に住む生き物たちは村人達にとっても身近なものなのだろう。椅子という、ある程度形に制約のあるものながら、その表現性は自由。
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エイって、そのフォルムが特徴的だからモチーフになり易いのだろう。椅子としても“安定感”があって良さそう。
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亀。こちらは言わば円空の仏像のような、荒削りの作品。これはこれで味があってグッド。
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スーパーマンかウルトラマンの飛行スタイルをしている猿。
どの椅子もそうですが、脚の部分の造りがこんな感じ。横棒があればもっと強度が増すんじゃないかと思うんだけど、ポキッと折れそうで怖い。体重制限、かなり厳しそうです?!
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鰐や蛙もお気に入りのモチーフ。
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コウモリは、顔が上を向いているのがユニークなフォーム。なるほど、これで逆さま感を出している訳か
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まさに亀。顔の表情が愛くるしい。
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ジャガーも、何とも言えない顔立ち。ペットにしたくなる。
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★ 感想

ブラジルというとサッカー、アマゾンの密林、カーニバル、そしてボサノバなんてのが思い浮かびます。でも、椅子ってのは全くノーマーク。こんなに色んな村で製作されているとは。
どれも、素朴なようでいて色々と工夫がされていて、楽しいものばかり。どれか一つ欲しいな、と思っちゃいました。

個人的に気に入ったのはこれ。アリクイの椅子。部分的に塗料を塗らないで身体を貫くラインを表現しているのがカッコいい。椅子としても高さや大きさ的に使い勝手が良さそう。まあ、自分の家に置くとなると頭部が邪魔で置き場に困りそうだけど。
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観に行く前は、面白いのかなぁと思っていたんだけど、楽しめました。カワイイのやらファンキーなのやら、なるほど良くできているなと思うものまで色々あって、飽きることなく観て回れました。そして、なんと言っても動画で紹介されている製作風景にビックリ。ブラジルのアーティストは体力も必要なんだなと感心したのでありました。

もうすぐ終わってしまうんですが、機会があればどうぞ。

★ 朝香宮邸内装

東京都庭園美術館|TOKYO METROPOLITAN TEIEN ART MUSEUMのもう一つのお楽しみは、アールデコ調の建物・内装。これを見るだけでも楽しめます。以下、説明抜きで写真をペタペタ貼っておきます。

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ご無沙汰気味だったけど、涼しくなったらまた行こうっと。その時は庭園でのんびりしたいな。

★ 美術展情報

「ブラジル先住民の椅子 野生動物と想像力」展は下記の通り、開催中。






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コメント 2

JUNKO

ユーモラスな造形ですね。
by JUNKO (2018-09-10 20:51) 

ぶんじん

JUNKOさんへ:
こんな椅子に座っていたら、日々の生活も楽しくなりそうですね。
by ぶんじん (2018-09-10 22:34) 

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