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「ショーメ 時空を超える宝飾芸術の世界」展 ナポレオン一世・皇妃ジョゼフィーヌの御用達の逸品がずらり [美術 : 美術展、写真展紹介]

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三菱一号館美術館で開催中の「ショーメ 時空を超える宝飾芸術の世界展」ブロガー特別内覧会に参加してきました。
例によって特別な許可をいただいて、写真撮影しています。通常は一部のエリアを除き、撮影禁止です。ご注意願います。

★ 展示内容

パリに本展を構えるジュエリーショップChaumet(ショーメ)は、十八世紀後半からの歴史を誇ります。かのナポレオン一世・皇妃ジョゼフィーヌ御用達としても有名。そんなジュエラーの装飾芸術の傑作を一気に展示。ルーヴル美術館名誉館長アンリ・ロワレット氏の監修の元に企画された本展は、昨年の中国 北京(紫禁城)で開催された後、日本ではここ三菱一号館美術館で開催となったのでした。

展示構成はテーマ別。ショーメの歴史を紐解き、デザインの元となった自然の造形美との関係や、東洋などからの影響をみていく形になっています。章立ては以下の通り。
  • Ⅰ.歴史の中のショーメ
  • Ⅱ.黎明期のミューズ : 皇妃ジョゼフィーヌ、王妃オルタンス、皇妃マリー=ルイーズ
  • Ⅲ.戴冠! ティアラの芸術
  • Ⅳ.旅するショーメ : 時間旅行、水平線の彼方の新たな世界へ
  • Ⅴ.自然を披露する : 自然史、「この光輝く金と宝石の世界」
  • Ⅵ.身につける芸術=ジュエリー
  • Ⅶ.キネティック・アートとしてのジュエリー
  • Ⅷ.遙けき国へ : ショーメと日本

以下、高橋館長、学芸員の岩瀬さんのお話を交えて展示品を説明。

ショーメはナポレオン一世、そしてその皇妃ジョゼフィーヌの御用達ジュエラーとなり、輝かしい歴史をスタートさせた。そんな240年におよぶ歴史を一気に見られるコーナーが最初にお出迎え。ナポレオン一世のネクタイピンから、この企画展のためにデザインされた新作までがずらっと並んでいます。
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さらには凄いお宝が。一枚目の写真は「皇帝ナポレオン一世より贈呈された教皇ピウス七世のティアラ」。ナポレオン一世の戴冠式に教皇が出席してくれたことに感謝し、ナポレオンから贈られたもの。バチカンの教皇庁聖具室からの貸し出し品。「凄いところから借りられたんです!」と学芸員さんも興奮気味に説明してくれました。

皇妃ジョゼフィーヌと王妃オルタンスらは、ショーメの装飾品を身につけ、儀式や宴会・舞踏会で華やかに社交の場を飾っていた。
ローマ神話における農耕の女神ケレスの象徴は麦の穂。皇妃ジョゼフィーヌも好んでこのモチーフのティアラやジュエリーを身につけた。
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今回の企画展は内装にも力を入れている。ショーメ社が展示内装に強い、強いこだわりを持ち、今回のこのような形になったそう。ただ、余りにこだわりが強すぎるところは館長さんが「そこまではちょっと・・・」と丁重にお断りしたとか。
これは偶然なのかな。ジュエリーの展示ケースに、反対側の壁に飾られた肖像画が写り込んでいました。もちろん、その肖像画はそのジュエリーを身につけた姿で描かれています。
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こちらはティアラのデザインのモック。この展示室内は写真撮影OK。
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もちろん、本物もずらりと並んでいます。ゴールド、シルバー、プラチナ、そしてダイヤモンドにエメラルド。まさに光り輝いています。
比較的冬が長いヨーロッパでは、光に対する憧れが強いのかも知れない。そのため、光り輝く宝石や貴金属を身につけることによって、光と一体化しようという気持ちがあるのだろう。日本人にはきらきらしすぎる感のあるこれらジュエリーも、彼らには美の象徴なのだ。
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古今東西の装飾デザインを採り入れ、ショーメの作品はその表現力を高めていった。
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ティアラやブローチだけではなく、こんなものも作っています。
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こちらは中国シリーズ。朱や翡翠を使っているところも、いかにもシノワ。これはお洒落だな。
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自然界の造形美にもインスパイアされた作品が一杯。花や鳥の羽はもちろん、木の実や昆虫なども多く用いられている。
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今回の企画展はジュエリー本体はもちろん、そのデザイン画も多数出品されている。本邦初公開のものばかり。
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細かい細工が自然の美に対する崇敬の念を表しているようだ。鳥の羽の繊細さ、飛翔する姿をじっくりと観察してデザイン化したのだろうな、と思わせる作品群。
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かのマリー・アントワネットは日本の漆器をコレクションしていた。ジョゼフ・ショーメの手によるものもあり、革命の混乱期をかいくぐり、破壊・売却されることなく、今に伝わっている。
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ダイヤモンドのカッティング技術の進歩も見ていくと面白い。さらには、台座の磨き方など、セッティングの技術も侮れない。これらが合わさってこの輝きを生み出している。今回の企画展ではそんな技術の進歩も見ていくことができる。
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★ 感想

二百四十年の歴史は伊達じゃない。しかも、古い作品でもデザイン画がきちんと残されていて、学術的な意義も高いのだとか。単なるメーカーの商品展示とは違った美術展です。そして、館長さんも説明していましたが、ナポレオンやらなんやらを引き合いに出し、社会史・文化史の中に位置づけた展示構成になっているので、見ながら「なるほどね」、と思える感じ。正直、観に行く前は「ジュエリーはよくわからないなぁ。でもキレイだから目の保養にはなるか」という程度に考えていたんですが、いやいや面白かった。ナポレオン一世は豪華さを全面に出して自分を権威付けしているが、その小道具としてジュエリーは大きな役割を果たしていたんだということが分かった。教皇への贈り物も然り。
さらには、皇妃ジョゼフィーヌが、ローマ時代に通じる“麦の穂”のイメージにこだわったのも、古き良き時代の代表格であるローマ時代よ、もう一度、という想いの表れだったのだろう。

ティアラって、映画「ローマの休日」だとか、「セーラームーン」なんぞくらいしか思い浮かばない、縁のない存在ですが、いやぁ、きれいなものですね。こんなにたくさん、そしてものすごく近寄ってみたのは初めてかも。キラキラ感は凄いし、細工は繊細だし。昆虫をモチーフにしたものは、なかなかリアルな形状。でも、色合いが違うから、虫が苦手な人も大丈夫かな。
と言いつつ、中国のコーナーにあった翡翠を使ったケースが一番気に入ったかも。あれ、ピルケースにいいかな。“廉価版”ないのかな(笑)。

それにしても凝った展示装飾でした。その、ナポレオン一世時代の作品を展示しているケースには、背景として麦の穂があしらわれていたり、日本に絡んだ作品を展示した部屋では番傘のようなケースが使われていて、さらには雨や桜吹雪が舞うイメージ画像が壁面一杯に映写されていたり。展示スペースの作成に、ショーメさん側から数十人の職人さんが乗り込んできたとか。夜中まで作業したいとの要望もあったそうですが、ビルのセキュリティやらなんやらの都合でお断りするシーンも。それくらい、気合いの入った展示ってことですね。それだけでも一見の価値ありです。
とにかく豪華絢爛。これまでの三菱一号館美術館の企画展とは明らかに違います。チェックすべし!
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★ 美術展情報

「ショーメ 時空を超える宝飾芸術の世界」展は下記の通り、開催中。






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JUNKO

いているだけで幸せな気分になりますね。
by JUNKO (2018-07-22 11:08) 

ぶんじん

JUNKOさんへ:
日頃、ジュエリーショップなんて行かないので、こんなにまとまってジュエリーを見るのは初めて。それだけでも、いい経験でした。
by ぶんじん (2018-07-22 18:59) 

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