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三菱一号館美術館 「プラド美術館展」 ブロガー内覧会 : 時間に余裕を持って来館し、じっくり味わいましょう [美術 : 美術展、写真展紹介]

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「プラド美術館展」広報事務局(株式会社ウインダム内)さんの招待で、三菱一号館美術館で開催された「青い日記帳×「プラド美術館展」“ブロガー・特別内覧会”」に参加してきました。

★ 展示内容

プラド美術館展は、その名の通り、Museo Nacional del Prado(プラド美術館)の収蔵品による美術展です。ただし、三菱一号館美術館でやる企画展ですから、普通に“有名処の作品”を並べただけであるはずがないんです。「有名な美術館から(適当に)借りてきた作品を並べただけの“XXX美術館展”なんてやりたくない!」と高橋館長は以前、豪語されていたわけで、今回もやっぱり一癖、二癖ありました。プラド美術館というと、ベラスケスやゴヤの大作がドン、ドーンと並んでいるのかと思いきや、“キャビネット・ペインティング”と呼ばれる小作品ばかりを百点以上、並べているのです。なので、近づいてじっくり観ねばなりません、どの作品も。先日来館された黒柳徹子さんは二時間以上かけて観て回ったとか。みなさんも気合いを入れて観に行きましょう!

展示は年代順になっています。コーナーは以下の通り。
  • Ⅰ 中世後期と初期ルネサンスにおける宗教と日常生活
  • Ⅱ マニエリスムの世紀:イタリアとスペイン
  • Ⅲ バロック:初期と最盛期
  • Ⅳ 17世紀の主題:現実の生活と詩情
  • Ⅴ 18世紀ヨーロッパの宮廷の雅
  • Ⅵ ゴヤ
  • Ⅶ 19世紀:親密なまなざし、私的な領域
と、現代の我々から見ると無表情そのものの集団が描かれているとしか見えない、中世の宗教画から始まり、近代の優雅なマダムが海岸で散歩している姿まで、かなり幅広いラインナップになっていました。しかも、小さな作品が多いと言うことで、確かに観て回るのは時間かかります。でも、楽しい。

以下、トークショーで聞いた話を交えながら作品の一部をご紹介。

バロックの頃の中世ヨーロッパは、カトリック全盛。とは言え、やたらと一杯「聖人」が持てはやされ、それぞれに信仰を集めてます。我が街の守護聖人は誰それ、という感じ。なので、一神教と言いながら八百万の神々を祀っているのと同じような感覚なんじゃないかと思います。それ故、我々日本人にも案外、馴染みやすい時代なんじゃないかと勝手に思ってます。
そんな聖人たち勢揃いの作品が一杯。拷問で無理矢理、抜歯をされちゃった聖アポロニアさんや、ヘッドランプのように頭にホタテ貝の貝殻を付けているヤコブさん、矢に射貫かれても死なずに頑張った聖セバスティアヌスさんなど、黄金伝説が展開されていました。
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十七世紀のコーナーはネーデルランド絵画が一杯。ブリューゲル一家の、子どもの世代辺りの作品です。
ブリューゲル家の作品ではないですが、「アジア」と題された作品群が目を惹きました。アジアの文物を紹介しているんでしょうが、魚や鳥、蟹に獣などがゴチャゴチャと描かれているんです。実際に見て描いたとしたらこんな感じではないだろうと思えるので、想像で描いた部分も多そう。でも、可愛らしいライオンなんぞはゆるキャラにしてもいいかも?!
あと、なぜか蟹やら魚はひっくり返った状態で地面に転がされているんですよ。当時の魚屋ではこんな感じで並べられていたからなのかな。獣たちとは違って生気が感じられないのがちょっとさみしい。食べ物としか思われていなかったからかも知れません。
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こちらは、ルーベンスが下絵を描き(左のガラスケースの中)、フォンさんに作成させた作品。アポロンが大蛇(と言いながら、イノシシみたいな獣)と戦っている姿が描かれています。この頃は、値段によって親方(この場合はルーベンス)がどこまで実際に絵筆を振るうかが決まったそうで、構図だけ、主人公の顔だけ、主要人物だけ、背景も全部、なんて感じだったそうです。で、残りは工房の弟子たちに任せるのだとか。
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ゴヤはさすが、別格。一人で一つのコーナーが設けられています。でも、これまで余り見たことない作品ばかり。マハさんを描いた感じとはちょっと違うかな。怪我した石工(酔っ払った石工?)なんぞを題材にしています。宮廷画家としての確固たる地位を築いていた彼は、かなり自由に、好きなように絵を描くことができたのだとか。自分が気になった主題を描いて、それで生活が成り立っていたなんて羨ましい限りです。
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★ トークショー

話が前後しちゃいましたが、内覧会の始めにトークショーがあり、館長さん、キュレーターのやすいさん、青い日記帳のTakさんが登壇し、本展の見所をお話ししてくれました。
館長の高橋さんは前から、こだわりのある人だなぁと思っていた・知っていたのですが、やすいさんもかなりユニークな方でしたよ。自分の考えを強く持っていないと、キュレーションって仕事はできないのかも知れない。こだわりが半端なく、作品一点一点、熱く語って、時間制限がなければ何時間でも語り続けていそう。
楽しい話をありがとうございました。
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図録も解説がたっぷり。読み応えありそうでした。税込み2,700円なり。
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★ 感想

一度は行ってみたいプラド美術館ですが、その一端を覗くことができる、しかもマニアックな視点・観点で覗き見られる企画展でした。面白かった。

幅広い時代の作品が取りそろっているので、自分のお気に入りを見つけるのも楽しいかも。仏頂面の中世絵画、白目をむいた聖人たち(拷問されいるから? 恍惚状態だから?)、変に生々しい静物画など、色々ありますから。
おすすめです。

記念撮影コーナーもありました。
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★ 美術展情報

「プラド美術館展」は下記の通り、開催中。



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