SSブログ

「日本全国 獅子・狛犬ものがたり」:阿吽の阿が獅子で、吽が狛犬だって知ってました? [読書 : 読んだ本の紹介]

IMG_20151104_205809.jpg

★あらすじ

神社の境内に鎮座している、「こまいぬ」と呼ばれている一対の石像。実は左右別々の霊獣で、「獅子」と「狛犬」と呼ばれていました。狛犬には一本の角があり、阿吽の吽の口をしていて口を閉じています。一方、獅子は阿吽の阿の口をしています。
平安時代に生まれたこの獅子・狛犬はその後、様々な形をとるようになる。
  • 威嚇型:旧官国弊社型:胸を突き出して威嚇している姿
  • 唐獅子型:関東型:中国伝来の唐獅子の姿
  • 短足型:関西型:前脚が太くて短い姿
  • 巻き毛型:標準型:波打つ耳と派手な巻き毛姿
  • かまえ型:出雲型:後ろ脚も立てて、飛びかかりそうな姿
  • 玉獅子型:広島型:大きな玉に前脚を乗せた姿
などなど、現存するだけでも地域や時代によってその表現は自由だ。

メソポタミアのウル王朝の墓から出土した装飾品には獅子の紋様が描かれていた。アッシリア王国の宮殿跡の壁画には、王様が獅子狩りをしている姿が描かれていた。古来、獅子は王様の、王朝の権威を示すものと考えられていたのだ。それはエジプト王朝の玉座にも現れている。獅子の脚をかたどった椅子は王様のみが座れる、権威の象徴だった。
一方で中国では霊獣と呼ばれる想像上の生き物が数十、数百種類生まれていた。西国から伝わってきた獅子のイメージと、この霊獣とが合体したのが唐獅子なのだ。さらに仏教の要素が加わり、唐獅子が変容していき、日本に伝わる頃には「獅子」と、そして「狛犬」と、二種類の霊獣になっていったのだ。

やがて獅子・狛犬は日本に定着し、さらには上記の分類のように発展・展開していった。

★基本データ&目次

作者上杉千郷
発行元戎光祥出版
発行年2008
ISBN9784900901841

  • 第1章 一歩近づいてみる獅子・狛犬
  • 第2章 獅子、東へ走る
  • 第3章 狛犬はこうして生まれた
  • 第4章 官から民へ、変身する狛犬たち
  • 第5章 日本全国・狛犬めぐり
  • 第6章 シーサーと世界の獅子
  • 第7章 “獅子舞”小ばなし

★ 感想

狛犬って、個性があって、各神社によってその表情やポーズがずいぶんと違うなとは思っていました。なので、神社を訪れると必ず狛犬も写真に撮るようにしています。そんな狛犬の解説本と言うことで、読んでみたのでありました。

歴史的経緯(日本に伝わってくるまでの流れ)や、地域ごとの分類・特徴(窯業が盛んなところでは陶器でできた狛犬が多く作られた、など)、そしてなによりも実際の狛犬たちの写真と、どれをとっても興味深いものばかり。そして、個性的な狛犬たちが生まれてきた秘密もこれで明らかになったのでありました。
これから写真を撮るにしても、その歴史的背景やら土地柄やらを思い浮かべながら撮ることができ、さらに思い入れが深くなりそう。

それにしても、基本的なところで、阿吽の違いがあるのは知っていましたが、獅子と狛犬と実は二種類の生き物(?)だったとは。奥が深いですね、獅子・狛犬の世界。

ところで、著者は狛犬研究家だそうですが、「上杉千郷 - Wikipedia」によると官僚を経験されたり、神社の宮司になったりと、なかなかユニークな経歴を持っているようで。狛犬研究は“趣味”だったのでしょうか。それにしてはかなり調査・研究しているし。まあ、それだけ狛犬の世界が魅力的で、入り込んじゃうと抜けられなくなるということなのかも知れません。
私もそうならないよう(?)、軽く写真を撮るだけにしておくかな。

Amazon.co.jpで購入する
楽天ブックスで購入する




書評・レビュー ブログランキングへ





nice!(16)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 16

コメント 2

JUNKO

大変興味深いお話でした。
by JUNKO (2015-11-06 19:05) 

ぶんじん

JUNKOさんへ:
世の中、知らないことが一杯です。
by ぶんじん (2015-11-07 07:16) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。