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「世界の変なトイレ」 : 文化、生活レベル、貧富の差、美的意識などがストレートに現れる場所 [読書 : 読んだ本の紹介]

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★ あらすじ

世界各地のトイレを地域ごとに紹介。写真と解説文が組みになって、それぞれ一ページないし見開き二ページに収められている。
著者はカナダのフリーランス・ライターの女性。写真も同じくカナダのフリーランス・カメラウーマン。著者紹介のページに、二人仲良く古代ローマ時代の公衆トイレに並んで座っている写真が載っています。

カナダからは「ユリネット(L'urinette)」が紹介されている。女性用小便器だが、立ったまま使用する。だが、ここで見るべきは便器よりも、使用方法を図解した説明書かもしれない。アメコミタッチのおねえさんがファンキーに説明してくれているのだ。

ボリビアのトイレは座るのに勇気がいるかもしれない。ウユニ塩湖の真ん中に位置する島は、岩がゴロゴロと転がり、その中に無数のサボテンが立っている。そしてその中にぽんとおかれたのがこの島のトイレ。ここで豊富に採れるものを材料にしているのだが、その材料とはもちろんサボテンだ。
一応、棘は抜いてあるようだが、ちょっと手抜きされて棘抜きされていなかったとしたら結果は悲惨だろう。

イギリスのトイレは神出鬼没。交差点の真ん中に埋まっていて、木曜日の夕方になると地下からその姿を現すのだそうだ。男性用小便器が三つ、円筒の周りに配されている。
もちろん「個室」などではなく、開けっぴろげだ。しかも場所は交差点の真ん中。パブでしこたま飲んだイギリス紳士はここで堂々と用を足すのだろうか。

南アフリカからは豪華な公衆トイレが紹介されている。エドワード朝時代(1901-10)の建物だそうで、一見すると立派な商店のよう。でも、そこはれっきとしたトイレなのだ。入り口にはしっかりと「ジェントルメン」と書かれている。
ここでいう「ジェントルメン」は白人男性のこと。そう、アパルトヘイトが"法制化"される前のこの時代でも南アフリカは白人優位。それがトイレにもしっかりと表れているのだ。この豪華なトイレの裏には黒人用のトイレがあるのだが、その便器を見ただけでも格差・差別がはっきりと見て取れる。

ニュージーランドのトレイはホーストレッキング・コースの途中にあるトイレ。森の中にぽつんと便器だけが、置いてある。そして、周りには松ぼっくりが一杯転がっている。ここでは、風が吹くと大きな松ぼっくりが頭上から降ってくるのだ。それさえ避ければ大自然と一体となれそうな場所。

中国からは北京の胡同にある共同トイレが紹介されている。雑院化(元は一軒の家だったのを分割して何軒分にもした)した四合院の中にある。プライバシーという概念はここにはない。三つの穴が並んでいるだけ。その下には溝があり、流水が排泄物を流すのだが、隣の人のが流れていくのを見ながらすることになるのだろうか。

★ 目次

  • トイレの歴史
  • 北アメリカのトイレ
  • 中央・南アメリカのトイレ
  • ヨーロッパのトイレ
  • アフリカのトイレ
  • オセアニアのトイレ
  • アジアのトイレ
  • もっと詳しく知るために

★ 感想

海外旅行に行くと、日本とは違っているなぁと思わされることがよくある。文化の違い、価値観の違いという奴。その中で、確かにトイレもその一つだ。誰しも海外のトイレに入って戸惑った経験はあるだろう。ドアや仕切りが下半分ないアメリカや、ドアを閉めたあとで真っ暗な中で灯りのスイッチを探さねばならないフランス。そして、"手動ウォシュレット(つまりはただのホース)"を使いこなさなければならないインド。つま先立ちしないと届かない、屈辱感を味あわさせられるイギリスなどなど。私が経験しただけでも話は尽きない。
この著者たちは、そんなトイレを求めて、まさに世界中を飛び回ったようだ。私の経験などまだまだだ。いやぁ、本当に多種多様なトイレがあるものだ。気候風土によって違いが出る(特に水が豊富に使えるかの違いが大きい)のは納得できる。が、羞恥心というか隠すか否かの違いは何に由来するのだろうか。砂漠や草原の真ん中にぽつんとあるトイレがちゃんと四方を囲まれた小屋の形であるのに対し、中国や古代ローマの公衆トイレは個室という概念がないようだ(ドアはおろか、仕切りもない)。「不浄のものは隠す」という概念が染みついてしまっているので、これにはかなり抵抗があるな。
まあ、代謝する(食べる&不要なものを排出する)は生物の基本的活動というか、それが生物であることの定義の一つとも言われている。なので、恥ずかしがるようなものではないのかもしれない、という考え方も確かにあるのは理解できます。でも、こればかりはなぜか理屈ではないですね。まさに"生理的に受け付けない"というやつ。異文化相互理解や文化の多様性が重要なのは分かるけど、郷に入れば郷に従えとの教えを素直に実践できそうにありません。

いやぁ、興味は尽きないですね、トイレの話。この夏、海外旅行に行く人は必読書かも?!おすすめです。


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コメント 2

カエル

トイレの話題はつきません。
いろんな衝撃がありました。
でも乗り越えてきましたが、
やっぱり日本のトレイは最高ですね。
by カエル (2014-07-15 10:07) 

ぶんじん

カエルさんへ:
ほんと、トイレの話は延々と語れそうです。
ベトナム辺りのトイレはどんなだったのでしょう?
by ぶんじん (2014-07-15 18:42) 

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