「ねこのあしあと」 : 中川翔子の作り方マニュアル、って感じです。この家族にしてこの人あり [読書 : 読んだ本の紹介]
★ あらすじ
しょこたんこと、中川翔子が自身の家族、そして生い立ち、愛してやまない猫たちについて語った自伝である。「しようこのはなし」
しょこたんの本名は"翔子"ではなく、ひらがな表記。しかも、「しょうこ」ではなく、「中川しようこ」が本名。「よ」が小さな「ょ」ではなく、大きいのだ。親が「薔子(しょうこ)」と名付けようとしたら、人名漢字では使えないと役所に届け出を断られ、すったもんだのあげくに「ならばひらがなでいい!」と書類を書き殴って提出した。その時、「よ」が大きくなってしまい、そのように受理されてしまったのだそうだ。(そんなことってあるのだろうか。いくら"お役所仕事"とはいえ・・・)
「栄子の七草粥」
中川翔子の家系は女子が強い、女系一家だ。母方の家系は、女性が元気に存命の人が多いが、男子は先に召されることが多い。
そんな訳で、子供の頃は中野の一軒家で祖母(栄子)・母(桂子)と女三人で暮らしてきた。父親の勝彦は稀にふらりと遊びにくるくらい。
この祖母の栄子さんがなんとも魅力的な人。シャンソン好きでシャンソン歌手の追っかけをやっていた。それに孫のしょこたんを連れて行っていたため、彼女は子供の頃からシャンソンを口ずさんでいたのだった。(歌が上手いのはこの頃から鍛えられていたからだろうか)
でも、彼女の家系の女性陣は家事全般が全くダメ。特に料理は全くしないのだ。たまに七草粥を作ろうものなら、、近所で摘んできた"雑草"をろくに新井もせずに調理し、彼女が食べようとしたら蟻の死骸が入っていたのだとか。
以上は、ファンの間では有名な話。以下、そんな奇想天外な家族の話が続き、中川翔子がいかに作られていったが分かるようになっている。あらすじとして書いてしまっては「ネタバレ」になるので、これ以上は自粛。
★ 目次
- しようこのはなし
- 栄子の七草粥
- ラップハウス①
- ラップハウス②
- 栄子の青春
- 栄子、奮闘
- 桂子のこと
- 桂子と勝彦・出会い
- 桂子と勝彦・ロマンス
- 勝彦のプロポーズ
- 勝彦、デビュー!!
- あなたの夢を叶えましょう
- ジャッキーとの出会い
- ジャッキーがいたから
- 夢の連鎖
- パピィのこと
- パピィとの想い出
- パピィとの別れ
- ご先祖さま
- 中川勝彦のあしあと
- ねこのあしあと①
- ねこのあしあと②
- ねこのあしあと③
- あとがき
★ 感想
中川翔子の魅力はなんと言ってもその多彩さでしょう。歌は上手いし、芝居や声優もこなす。漫画もプロ並みで、絵画展も開いてしまうほど。深海生物や宇宙について止めどもなく熱く語るし、サブカルチャーの話題も尽きない。日本が世界に誇るオタク文化を体現しているようなものだ。口癖がなんとも深い。「貪欲(どんよく)」、「生きた証し(あかし)を残したい」。のんびり、のほほんと生きている私には、まだまだ若いのに何をそんなに生き急いでいるの?と心配になってしまうほど。
そんな彼女がどうやって"できあがっていったのか"がこの一冊でわかるようになっている。よくテレビやネットにも登場しているので、母親がなかなかユニークな人だというのは知っていたが、先祖を辿っていくとさらに色んな方がいらっしゃるんですね。やはり「血」なのでしょう。
かの野尻抱影さんと遠い親戚だったようで(血のつながりはないのかな?)、彼女が宇宙の魅力にとりつかれたのも必然だったのかもしれません。私も子供の頃に野尻抱影さんの星座の話や惑星の本を読んで、親に天体望遠鏡をねだった口ですから。
単に「いじめられっ子だったけど、めげずに頑張りました」ではない、自分の好きなもの・信じるものに没頭してそれを究めたところに感心しきり。それに倣うのは難しいかなぁと思いつつ、悩める若者に勇気を与えているのは確かでしょう。
親世代が子育てマニュアルとして読むにはちょっと飛びすぎた内容かもしれませんが、自分の子どもを信じるという姿勢を貫いている彼女の母親には見習うところがありそうです。まあ、子どもと一緒にコスプレするのは誰もが見習えるものではないでしょうが。
とにかく、色々と考えさせられる一冊でした。いやぁ、面白かった。自分が子どもである人にも、子供の頃の夢を忘れちゃった大人にも、そして子を持つ親にもおすすめです。
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