「アラブ・エクスプレス展」 発信するアラブの姿と誤解される姿の二面性が感じられます [美術 : 美術展、写真展紹介]
六本木ヒルズ森タワー53階にある森美術館でやっている「アラブ・エクスプレス展」を観てきました。
イスラム教やアラブ世界に対して関心が高まっていますが、まだまだ知らないことばかり。宗教や歴史もそうですが、今の姿も馴染みがない。ましてやアラブ世界の現代美術となるとどんな感じなんでしょう?
そんな今のアラブを知ることができるこの展覧会、期待通りに面白かったですよ。
展示されている作品は写真や絵画、映像(ビデオ)に絵はがきまであり、見飽きません。ただ、現代美術は洋の東西にかかわらず、観ただけだと何が言いたいのか読みとるのが難しいものが多い。ということで、無料で借りられる音声ガイドをおすすめします。
あと、この美術展、普通と違って作品の写真撮影が(条件付きですが)OK。広くアラブ世界を知ってもらいたいと言うことでしょう。なんですが、大作が多くて写真に収めるのも難しかったので、あんまり撮ってませんが。
作品の中で私が興味を持ったのは、アラブ世界が欧米や他の人々からステレオタイプにはめ込まれて見られていることへの戸惑いや反感、嘆きなどをテーマにしたもの。自分に対して、「君はこんな風に見ているんじゃないの?」と問われている感じがしましたよ。
例えば、映像の作品。いかついお兄さんがテーブルに座ってこっちを向き、淡々と朗読している。それだけならなんと言うことはないんですが、テーブルには銃が置かれ、無表情で読み上げるその姿は、「自爆テロの前に犯行声明を読み上げるテロリスト」そのもの。そう、我々がニュースで良く目にするアラブの若者はテロリストばかりなのだ。だが、この作品の中で男が読んでいるのは「千夜一夜物語」。アラビアンナイトのおとぎ話だ。アラジンの話は誰でも知っている。そう、アラブ世界はテロリズムとおとぎ話では知られているものの、その間がすっぽりと抜けている。作者は、ステレオタイプでしかアラブ世界を見ないその態度を静かに告発しているのだ。
自分たちが変容してしまっていることに対する戸惑いや疑問、怒りを感じてそれを表現している(と思われる)作品も多かった。写真の噴水、これも作品です。なにやら水が黒く見えると思いますが、その通り。黒い液体が吹き上げていて、ビニールの膜で覆われた水面(?)にバシャバシャ落ち、見ての通り床にも飛び散ってます。汚れちゃいけないと言うことでしょう、写真には写ってませんが周りにはロープが張ってあり、噴水には近寄れないようになっています。
アラブで黒い液体と言えば”石油”。どうやら油田を表しているらしい。絶え間なく吹き上げる石油。辺りには飛沫が飛び散るものの、そこにはなかなか近づいていけない。オイルマネーもそういうことなのだろうか。そんな石油に依存しているアラブの国々を象徴しているようだ。
この感覚は世界共通だなぁ、と思わせる作品があったり、これは何を言いたいのかよくわからんってのもあり、思った以上に見応えがありました。これ、おすすめです。
関連イベントも盛りだくさんのようです。詳しくはホームーページを見てください。
会期 :2012/06/16(Sat) - 10/28(Sun)
開館時間 :10:00-22:00(火曜日のみ17:00まで)
入館料(税込):一般1,500円 東京シティビューにもご入館。
スカイデッキへは別途料金がかかります。
さて、別料金になっちゃうスカイデッキですが、久しぶりなんで行ってみました。そう、六本木ヒルズ森タワーは屋上に出ることができるんですよ。
この日はご覧の通りの青空。いい感じに雲が出ていて、快晴よりもこっちの方が写真を撮るには面白かったかな。東京タワーの上に白い雲が連なっていました。
ちょっとわかりにくいけど、東京タワーと東京スカイツリーの新旧タワーそろい踏み。
よく見ると地平線が丸くなっているのがわかるかな。東京の真ん中でも「地球」の存在を感じられる場所があるんですね。
ヘリポートの向こうには厳かな感じの雲と光の筋が。
久しぶりの絶景、堪能させてもらいました。気分良かった!
おもしろそうな展示があるな、と思ってたのです(*´ω`*)
いいですねー、たまには東京に足を伸ばして観てみたいです。
by JOY (2012-07-08 22:33)
旬の名所を眺めて気分爽快とはうらやましいです。飛行機代かけても見る価値がありそうですね。
by JUNKO (2012-07-09 16:43)
JOYさんへ:
森美術館、色々と面白い企画展が多いんでちょこちょこ行くようになりました。ぜひ、おいでませ。
JUNKOさんへ:
スカイツリー、7/11から当日券も売り出すそうで。こちらも見る価値、いや登る価値ありそうです。
by ぶんじん (2012-07-09 20:36)