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「アメリカ版 大学生物学の教科書  第1巻 細胞生物学」 [読書 : 読んだ本の紹介]


カラー図解 アメリカ版 大学生物学の教科書 第1巻 細胞生物学 (ブルーバックス)

カラー図解 アメリカ版 大学生物学の教科書 第1巻 細胞生物学 (ブルーバックス)

  • 作者: クレイグ・H・ヘラー
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2010/02/19
  • メディア: 新書


アメリカの大学で使われている教科書だそうです。それが新書で読めちゃうんですから、すごいですね。筑摩学芸文庫といい、日本の読書人の知的水準はうなぎ登り?その割には理系離れが叫ばれて久しいですが。

それにしてもアメリカは不思議な国ですね。進化論と一緒に天地創造も教えないといけないと叫ぶ人たちもいるのに、この生物の教科書は理系だけではなく、全学科で必須科目になっている授業で使われているのだそうです。大学出の人はみんなATP合成だのゴルジ装置が何者かを知っているんですからね(この程度ならば、高校の生物で習うかな)。
さらに驚いたのは、この前岩波の「化学」を読んでへぇと思った合成生物学や人工細胞の話がいきなり冒頭に出てきたこと!図1-2として(つまり、冒頭から数えて二番目の図)人工細胞の写真が載っていたんですよ!!私がつい最近感心したことが、アメリカの大学生には“常識”となっていた訳ですね。いやぁ、アメリカ侮りがたし。

さて、中身ですが第1巻の「細胞生物学」は
  第1章 細胞:生命の機能単位
  第2章 ダイナミックな細胞膜
  第3章 エネルギー、酵素、代謝
  第4章 化学エネルギーを獲得する経路
  第5章 光合成:日光からのエネルギー
の章立てとなってます。
基本的には教科書なので、読んでおもしろいというものではないかもしれません。が、第2章の細胞膜の説明は興味深かったですね。生物とはなんぞやという定義はいろいろありますが、その一つには「外界と区別された(区分けされた)存在」と言うことでしょう。つまり、”身体”の内と外とが明確に分かれていること。その境界線を形成しているのが細胞膜。で、こいつがすごい。生物のもう一つの定義として「代謝を行っている(ものを食べて活動する)」こととすると、細胞膜は内と外とを隔てていながら、必要なもの(栄養)はちゃんと中に取り込み、不必要なものを外に出すことができるんですね。ドアマンが出入り口に立っていて、お客さんは通すけれど不審者は通せんぼする。そんなことをあんな小さな細胞の表面(細胞膜)で絶えずやっているです。この教科書はその謎、仕組みを解説してくれていますが、図入りでとても分かり易い。おお!こんなことをやっているのか?!と納得すると共に、さらに驚きに包まれちゃいます。どんな仕組みかというのをここで書こうとしても、私の文才ではうまく伝えられないのですが、この本のように図入りで説明があるとまさに一目瞭然、百”文”は一見にしかずです。ということで、謎を知りたい人はこの本を読んで(見て)ください。

第4章の化学エネルギーを獲得する経路の話、化学的知識に乏しいのでついていくのがしんどかったのですが、複雑なことをしているんだなぁということだけはよくわかりました。代謝経路図、東京の地下鉄路線図よりも複雑。進化の中で試行錯誤を繰り返して選んできた方法なので、ベストなやり方(もっと効率のいい方法があるかも)ではないのかも知れませんが、それでもよくやっているなぁと褒めてあげたくなっちゃいますよ。

ということで、学生の時にちゃんと生物学を勉強しなかった私にとってはとてもありがたい本でした。3巻まで出ているので、残りも読みたいなと思ってます。これでやっとアメリカの大学生に追いつけるか?!
勉強し直したい人におすすめの本です。




カラー図解 アメリカ版 大学生物学の教科書 第2巻 分子遺伝学 (ブルーバックス)

カラー図解 アメリカ版 大学生物学の教科書 第2巻 分子遺伝学 (ブルーバックス)

  • 作者: デイヴィッド・サダヴァ
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2010/05/21
  • メディア: 新書
カラー図解 アメリカ版 大学生物学の教科書 第3巻 分子生物学 (ブルーバックス)

カラー図解 アメリカ版 大学生物学の教科書 第3巻 分子生物学 (ブルーバックス)

  • 作者: デイヴィッド・サダヴァ
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2010/08/20
  • メディア: 新書


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コメント 2

Ranger

>アメリカの大学で使われている教科書だそうです。それが新書で読めちゃうんですから、すごいですね。

・・・って、それを読もうとするぶんじんさんが凄い!

Rangerなら、表紙見ただけで、見なかったふりします^^;
by Ranger (2010-09-02 09:57) 

ぶんじん

Rangerさんへ:
この本(シリーズ)、図解が非常に分かり易いです。それを見るだけでも要点はつかめますよ。
表紙の絵は細胞の断面図ですね。”キモカワユス”ってやつじゃないでしょうか?!
by ぶんじん (2010-09-03 23:53) 

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