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「暗号が通貨になる「ビットコイン」のからくり」 : 信じて、求めてみますか [読書 : 読んだ本の紹介]

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★ あらすじ

ビットコインとは、ネットワーク上に存在する「暗号通貨」です。「仮想通貨」と呼ばれることもあるが、暗号でコピー(偽造)を防ぐことで電子データを通貨として流通させることが根本にあるので、「暗号通貨」と呼ぶ方が適切。
ビットコインそのものの複製は困難。しかし、流通や換金の過程で関わるサービスの瑕疵(ミス・不具合など)によって、詐欺や盗難が発生する可能性はある。ビットコインの暗号は強固だが、通貨として使うための(周りの)仕組み全体の信頼性はまだ充分に担保されていない。

ビットコインに価値の裏付けがあるかないかの判断は難しい。そもそも、いまの国家通貨にも具体的な価値の裏付けはほとんどない。ビットコインの欠点として指摘されやすい内容の多くは、実は既存の国家通貨にも当てはまるものだ。

ビットコインのライバル候補の暗号通貨としてはライトコイン(3億ドル)、ドージコイン(0.3億ドル)、モナーコイン(0.0億ドル)、ピアコイン(0.5億円)。それに対してビットコインは57億ドル。今のところダントツの流通量である。

ビットコインのような暗号通貨はこれから通貨として発展するのか?それは、「たくさんの人たちが暗号通貨を「通貨として認めるかどうか」で結末が変わってくる。
ビットコインが世界統一通貨になる可能性は極めて低いと考えられる。そのため、既存の国家通貨やさらに新型の通貨などと共存する中でどう発展するのかを考える必要がある。

・・・

★ 基本データ&目次

著者吉本佳生、西田宗千佳
発行元講談社
発行年2014
ISBN9784062578660


目次
  • はじめに
  • 第1章 ビットコインとはなにか? なぜ生まれたのか?
  • 第2章 ビットコインは"通貨"として通用するか?
  • 第3章 ビットコインを支える暗号技術
  • 第4章 ビットコインは通貨の未来をどう変えるか?
  • ビットコインのもう1つのインパクト
  • 対談コラム1 マウントゴックス事件の読み解き方
  • 対談コラム2 「匿名性」についてとことん考えてみる
  • 対談コラム3 "寿命"が次世代の進化を生む

★ 感想

「みんなが信用すれば、それは通貨になる」との定義は分かり易かった。確かに、金・銀・銅にしろ、貝殻や石ころにしろ、銀行発行の紙幣にしろ、それらに絶対的・普遍的価値がある訳ではないのだから、ビットコイン(暗号通貨)も同じだというのに納得。

Asahi.comに仮想通貨、バブル時代 ビットコインで注目、世界で200以上:朝日新聞デジタルの特集記事が載っていた。「マウント・ゴックス破綻後も次々誕生」、「各国政府は通貨と認めない」、「管理者がはっきりしないので規制が難しい」などの内容だ。根底に否定的な姿勢が見て取れる表現が多いが、最後に「新たな技術を育てるために、規制は最小限にとどめるべきだとの意見もある」として結んでいる。
新しいもの、理解しにくいものが社会に受け入れられて行くには時間もかかるだろうし、欠点の修正も必要だろう。だが、本書を読んで、それは乗り越えられる話だし、今の通貨より良さそうな気がしている。

そういえば、最近は現金を扱うことがずいぶんと少なくなってきた。ネット上の取引はクレジットカード(もしくはPayPal)だし、コンビニやら自動販売機でものを買う時は電子マネー(EdyやSuicaなど)だ。気分的にはもう、暗号通貨を受け入れる心の準備ができている気がする。

さて、本書は金融の知識に疎い私のような人にも理解できるように、そちら方面の説明も詳しい。「通貨とは」や「金融(システム)の出来不出来と通貨の良し悪しは別」など、図解入りで分かり易く解説してくれている。
逆に、その分、技術的な解説は少ないとも言える。一般向けとしてバランスがいいということだろう。入門書としてはおすすめです。

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