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「レオノール・フィニ展」 [美術 : 美術展、写真展紹介]

渋谷Bunkamuraザ・ミュージアムに「レオノール・フィニ展」を観にいってきた。恥ずかしながら、この展覧会があるまで、フィニのことは全く知らなかった。ポスターで見るスフィンクスのような半人半獣の女を描いた作品からは、シュールレアリスムの人なのかな、という印象を受けていた。
が、作品を年代順に見ていくにつれ、その作風の変化の激しさもあり、簡単に一言で括れない火とだというのがわかってきた。まず、最大の特徴は、彼女自身だ。彼女はとても美しい女性だったのだ。1907年に生まれ、1996年に没している。二十世紀の人なので、写真や映像が多く残されている。自らデザインした衣装に身を包み、ポーズをとったその姿はまさにモデルのようだ。その目は力強く、小説を書き、ジュエリーデザインまでする、才能に満ち溢れた顔をしている。
さて、そんな彼女の描く作品だが、若い頃のものはまさにシュルレアリスムという感じだ。幻想的な雰囲気を漂わせている。少々気になるのは、「骸骨の天使」の骨格が、解剖学的には不自然な形状、連結状態であることか。だが、60年代になると作風が一変する。”鉱物の時代”と呼ばれているそうだが、確かに石の結晶のような模様というか、点描とも違う独自の描き方だ。そこには、ボーっと浮かび上がるような、土に埋もれているような感じで人物が描かれている。髪がなく、目も骸骨の眼窩のようなその雰囲気は、"The X-Files"でおなじみのLittle Green Manか、「攻殻機動隊」に出てくるアンドロイドを連想させる。人に似てはいるが人ではない。でもやはり人である。いや人以上にその本性を明らかにした存在ということか。
その後のエロティシズムを主題にした作品群には少々興奮させられ、舞台関係の作品でcool downという感じだった。80年代の作品は、昔に戻った感じだが、歳の分、ちょっと毒気がなくなったようだが。いやぁ、それにしてもこれだけいろいろなことをやれたってのはうらやましい生き方だ。突出しすぎて、周りからはちょっと浮いた感じだったようだが、そんなのはお構いなしだったのだろう。「とても強くてかっこいい女性だった」というのが、見終わったあとの、今の印象だ。



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