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「琉球 美の宝庫」展 中華風でも、和風でもない、独自文化は魅力的 [美術 : 美術展、写真展紹介]

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★ 展示内容

サントリー美術館で開催中の「琉球 美の宝庫」展に行ってきました。

十五世紀に統一王朝が成立して以来、中国(明・清)と日本(薩摩藩)の双方に対して朝貢的な関係を保っていた。両国の文化を吸収するとともに、独立国として独自の文化も育んできた。その後、第二次世界大戦の戦火で失われたものも多いが、今日までに残し、伝えられてきた至宝の数々を今回、展示している。
公式サイトによると
本展覧会では、鮮やかな紅型に代表される染織や、中国・日本から刺激を受けて描かれた琉球絵画、螺鈿・沈金・箔絵などの技法を使ったきらびやかな漆芸作品を中心に琉球王国の美をご紹介します。なかでも、近年の東京でまとまって公開されることがなかった琉球絵画は見所のひとつです。首里王府の染織や漆器のデザインには絵師が関わっていたとされており、染織・絵画・漆芸を特集することで琉球の美術を総合的にとらえ、その実像に迫ります。第二次世界大戦の戦禍をくぐりぬけ現在に守り伝えられた優品が集う貴重な機会であり、とくに首里王府を治めた尚家に継承された「国宝 琉球国王尚家関係資料」は必見です。
とのこと。

展示構成は、作品のテーマ別に分類した形で、下記の通り。
  • 第1章 琉球の染織
  • 第2章 琉球絵画の世界
  • 第3章 琉球国王尚家の美
  • 第4章 琉球漆芸の煌き
  • エピローグ 琉球王国の記憶


首里王府にあった貝摺奉行所という機関に絵師たちが在籍し、織物の下絵制作を担当し、王族・貴族のための衣装をデザイン、制作していた。中国から龍・鳳凰など、日本から桜・松などの意匠を取り入れ、独自の紋様を生み出す。そのような美しい染織作品が数多く展示されている。

琉球絵画は、第二次世界大戦による戦禍で多くが失われたため、その全容は未だ明らかにされていない。今企画展では近世琉球期(1609 - 1879)の作品を集め、展示している。
中国・日本から数多くの絵画が輸入され、受容されている。また、中国へ渡り、絵画を学んだ者もいて、それらは宮廷美術として昇華していく。

そんな琉球王国は尚家によって治められていた。彼らの宝物の数々が展示されている。
王冠(レプリカ)は小さな玉が無数に散りばめられた豪華なもの。これはポスターにもなっている。宮廷の儀式に使われた食器類は漆芸を極めた造りで、艶やか。

そんな漆器類は、王国にとって重要な輸出品だった。そのため、貝摺奉行所の絵師たちがデザインを担当し、沈金・螺鈿・箔絵・密陀絵・堆錦など、数々の技術を駆使した作品が製作された。
中国向けには龍や鳳凰をデザインに用い、日本向けには花鳥風月と、輸出先の好みに合わせたものになっている。そのため、全体としてバラエティが豊富になり、琉球漆器の魅力を高めている。

鎌倉芳太郎は染織家として作品製作をしながら、沖縄文化の研究にも力を注ぐ。戦前、多くの写真を撮影して残していたため、戦火で焼失してしまった沖縄文化を今に伝える貴重な資料となっている。今回は調査ノートの一部などが展示されている。

★ 感想

琉球美術というと「紅型(びんがた)」の衣装が最初にイメージされる。でも、それ以上のものを余り知らない、と言うのが正直なところだった。琉球王国の歴史も、「中世日本の勝者と敗者」などでちょこちょこ学んだ程度。これだけまとまって琉球の美術品を見たのは初めてだった。
中国風でもあり、和風なところもあり、そして独自な意匠もありで、バラエティの高さが魅力だった。特に漆器類は色々な技法を駆使していて、一度にこれだけ見られるのは余りないのではないかな。
螺鈿の龍がみごと。これは中国向けなのかな。
黒漆山水螺鈿印籠もお洒落。印籠は日本向けなのかな。これ、プラスチック製で良いからレプリカが欲しいな。

それにしても、戦争で多くを失ったとは言え、琉球美術の全容って未だに分かっていないんですね。美術を知ることは、その国・地域の人々の精神世界を理解することでもあり、その国・地域の歴史を把握するにも重要なことだと思います。今の、そしてこれからの沖縄を考えるにも、まずは琉球美術を知ることも必要かな、と。そんな“入門者”の私にはぴったりの美術展でした。

★ 美術展情報

「琉球 美の宝庫」展は下記の通り、開催中。






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