「もうひとつの輝き 最後の印象派 1900-20’s paris」展 : これも印象派?あなた好みの一枚が見つかるかも [美術 : 美術展、写真展紹介]
★ 展示内容
「「もうひとつの輝き 最後の印象派 1900-20’s paris」展 at 東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館 [広告]」で紹介した美術展の招待券をWindamArtPRさんからいただき、早速、観に行ってきました。展示は概ね、地域別・時期別に分けられていて、以下のような構成になっています。
- 第1章 エコール・デ・ボザールの仲間たち
- 第2章 北部の仲間たち
- 第3章 「バンド・ノワール(黒い一団)」の仲間たち
- 第4章 ベルギーの仲間たち
- 第5章 遅れてやってきた仲間たち
- 第6章 最後に加わった仲間たち
エコール・デ・ボザールは由緒ある美術学校だそうです。ここにあの点描画でお馴染みのスーラが在籍していた。彼と同級生だったのが、このコーナーで紹介されているエドモン・アマン=ジャン、エルネスト・ローランの二人。スーラが反サロン(美術展)に傾いていったのに対して、二人はサロンの流れの中に残り、それでいて印象派の手法も採り入れていった。
フランス北部出身で、サロン出展の準備期間のみパリにやって来ていたのが“北部の仲間たち”。アンリ・マルタンやアンリ・シダネル、アンリ・デュエムなどの作品が並ぶ。
アンリ・マルタンは、厚塗りの点描画という感じで、印象派的ではありながら、ギリシャ神話をモチーフにしたファンタジックな作品を描いている。
バンド・ノワールは、その名の通り、“黒い印象派”という感じ。黒やグレーを中心にした色合いの作品が多い。ブルターニュ地方の画家が多い。フランスの中にあって、やはりブルターニュ地方は独特の文化を持っていると思わせる。
ベルギーの画家たちは、印象派の技法を用いつつ、物語や詩情を感じさせる作品を産み出した。
彼らは「画家彫刻家新協会」という団体を作って毎年、春に展覧会を開いた。ただ、活動は平坦ではなく、意見の相違から離れていく者、後から入ってくる者、一度は去ったけどまた戻ってきた者などがいて、色々と波があったようだ。だが、1900年頃に始まり、1922年までその活動は続き、一つの流れとなり、今回、このように紹介されるに至ったのだ。
★ 感想
とにかく、初めましての画家さんばかり。確かに印象派の雰囲気ではあるんだけど、それでいていつも見慣れたモネやドガ、ルノワールなどの作品とはちょっと違っている。間違い探しという訳ではないけれど、その「ちょっと違っている」面を探すのが楽しかった。アマン=ジャンの作品は目に特徴がある。なんか生々しいのだ。そのためか、その目が見ている視線の先が気になってしまった。描かれた女性たちはその時、何を見ていたのだろうか。
エルネスト・ローランの点描は、点と言うよりはもうちょっと大きめの絵の具の塊がペタペタ塗られている。悪い意味ではないが、解像度の低いドット絵になっている。その分、おぼろげな雰囲気が出ていて、良い感じだ。
アンリ・シダネルは点描で描いた静物画が印象的。さらには、雨上がりの夜のコンコルド広場を描いた作品がとても気に入った。暗く、弱い灯りが路面に写る景色は、まさに私の想い出の中のパリだった。冬に訪れたので、パリって、いつも天気が悪くて、どんよりした雰囲気という印象しかないんです、私。
それとは逆に、アンリ・デュエムの暖色系の作品は懐かしさを感じさせる。特に夕景が美しかった。フランス北部の海沿いの街はこんな感じの風景が広がっているのだろうか。
かと思うと、ウジェーヌ・カリエールは、背景からおぼろげに浮かび上がる肖像画が印象的。神秘さと憂鬱感が漂っている。これも印象派なの?と、定義がだんだん難しくなってくるが、そんなことは抜きに、素直に面白い技法だなと思ったのでありました。
ということで、「最後の印象派」とあるけれどその幅は広く、飽きずに観て回れました。初めて観た作品ばかりだけど、お気に入りもできたし、有意義な美術展だったと言えましょう。みなさんもお気に入りの一枚を探しに行かれたらいかがでしょうか。
★ 美術展情報
「最後の印象派 1900-20′s Paris」展は下記の通り、開催中。- 会期 : 2015/9/5(Sat) - 11/8(Sun)
- 開館時間 : 10:00 - 18:00 (金曜日は20:00まで)
- 休館日: 月曜日 (ただし、9/21, 10/12は開館)
- 料金 : 一般1,200円 大・高校生 800円 中学生以下 無料 シルバー(65歳以上)1,000円
- 公式サイト : 最後の印象派 1900-20′s Paris | 東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館
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