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世界報道写真展2011 [美術 : 美術展、写真展紹介]

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さて、今回で何回目でしょうか。もう、観るのが義務のように感じてきました。ということで、ちょっと遅くなりましたが友の会特別内覧会が始まる前に観てきました、「世界報道写真展」世界報道写真財団によるコンテストの受賞作品を集めた写真展です。

毎度書いていますが、相も変わらず世界は悲しみに包まれてます。違いというか今回の特色としては、戦争を扱った作品があまりなく、自然災害(地震や火山噴火、洪水など)、犯罪(麻薬に絡んだものが一杯)、人口爆発・貧困の中の人々を撮ったものが多かった気がします。

人は必ずいつか死ぬもの。事故に遭わないように注意していても、病気にならないように健康を保っても、老衰でその“動き”が止まってしまうこともある。でも、畳の上・ベッドの上でその一生を静かに終える最期であればまだ救われる気がする。なのに、なぜこんなにも多くの人々が無残な死に方をしなければならないのだろうか。確かに、人も死んでしまえば後に残るのは腐りゆく肉の塊だけではあるのだが、こんな風に扱われてはうかばれない。
ハイチの地震。元々が崩壊寸前の政府だったので、この災害によって完全に機能が停止してしまう。被災した人達が生き残るためには略奪しかなかった。そんな人達が自信で崩れた家に群がってものを盗んでいく姿を写した作品があった。理性ある人々が欲望の塊に変わってしまった状況だ。でも、それはまだいい方。総合病院の遺体保管所を撮った一枚はかなりショッキング。「保管所」と言っても裏庭に遺体を積み上げているだけの状態。そこに新たに運び込まれたのは子供と思われる遺体。係員は隙間のあるところを見つけたのだろう。その遺体を、壊れた人形を捨てるかのように抛り投げている。手足を広げた状態で宙に浮く子供(の遺体)。まさに人だったものがモノになってしまった状態を写し出していた。
麻薬組織に処刑され、砂漠のようなところに放置された遺体を撮った作品もあった。手足を縛られ、文字通り蜂の巣になるほどに撃たれた遺体。首を切られ、地面に転がった頭部(だけの遺体)。街中で起こった銃撃戦の様子を連写した作品もあった。銃で撃たれた上に、頭を踏みつけられているシーンが続く。人がモノに変わってしまおうとしている状況を撮ったものと言えよう。

日本でも震災や原発事故の対応で政府はあたふたしているし、震災直後は救助物資がちゃんと届かないと言ったこともあったようだ。だが、そんな中でも秩序を保ち、冷静に行動する被災者のみなさんの様子に世界から賞賛の声が沸き上がったのは記憶に新しい。確かに、ハイチの地震やインドネシアの火山噴火、パキスタンの洪水の様子を撮った写真を見ると日本人はすごすぎるぞ、と言うのを改めて感じた。こんな風になっちゃっても不思議はないのに。

日本の震災を扱った写真は特別にスライドで編集されて上映、と言う形で紹介されていた。今も継続中の災害。TVでも津波の恐ろしさを動く映像で目の当たりにしている。でも、写真という形で切り取られたシーンは、また違った形で心に響いてきた。これまでの報道写真展は、なんだかんだ言って「対岸の火事」的に見ていたが、まさに今回はこちら側の話だ。自分の身に降りかかってやっと分かる、ということか。。。

ということで今回も重く沈んだ気持ちとなった写真展でした。しょうがないですよね、この写真展ばっかりは。みなさんも気合いを入れて観に行ってくださいませ。
もちろん、スポーツやエンターティンメントをテーマにした作品は華やかだったり、ちょっとクスッとできるものもあり、全てが重いテーマのものばかりじゃないですよ。


会場: 東京都写真美術館 B1展示室
会期: 2011-06-11(Sat) - 2011-08-07(Sun)
休館日:毎週月曜日(休館日が祝日・振替休日の場合はその翌日)
料金:一般 700円(友の会会員は560円)


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コメント 4

JOY

私はコマーシャル写真よりも報道写真のほうが好きなんです。実は。
理由を深く考えたことはないけれど^^;

by JOY (2011-07-12 09:06) 

ぶんじん

JOYさんへ:
どちらも人に訴える力を持っていますが、その主張の仕方の違いなんでしょうかね。うむ、難しい。
by ぶんじん (2011-07-14 22:05) 

u-k

友の会、切れちゃったんですよねー。
by u-k (2011-07-19 12:00) 

ぶんじん

u-kさんへ:
受付に言えばお姉さんがすぐに作ってくれて、その場で「友の会割引」になりますよ。
by ぶんじん (2011-07-19 20:51) 

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