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花の画家 ルドゥーテ『美花選』展 [美術 : 美術展、写真展紹介]

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もうすぐリニューアルのために一時閉館となってしまう渋谷Bunkamura。閉館前のザ・ミュージアム最後の企画展に行ってきました。
震災の影響で日本に持ってこられない作品があったためか、当初の予定から展示内容を変えての開催。でも、中止にならないだけ良かったですね。各地の美術館では「震災の影響で中止しました」なんてアナウンスをよく目にしましたので。

さて、ルドゥーテはナポレオン一世の時代に生きた画家で、ベルギーの人(出身はネーデルランド(オランダ)だそうです)。彼の描く花の絵は芸術的にもすばらしいですが、細密で正確なため、当時の科学(植物学)にも大いに貢献してます。植物図鑑の挿絵として銅版画で植物を描いているのですが、描写はとても緻密。今回の展示でも、虫眼鏡を用意してそのすごさを”体験”してもらうコーナーが設けられていましたが、点描の手法を使った描き方(「点刻彫板法」というそうです)はかなり根気がいりそうです。さらにその上で手書きの彩色も行い、葉っぱや花びらを表情豊かなものにしています。

今回の展示は、そんな形で出版されたもの別に集められていました。「ラ・ペルーズ探索航海図録」、「ユリ科植物図譜」、「美花選」、「バラ図譜」などなど。名前を聞くだけでも楽しそうですよね。世界各地からヨーロッパに”新種の”(彼らの知らなかった)草花がもたらされ、植物学者はその分類をするのに大忙し。人々も珍しい色や形の花に夢中になっていきます。ルドゥーテの図版はそんな“見たこともない”草花を人々に紹介するのに大いに役立ったことでしょう。
そんな感じで色んな花々の絵がずらっと並んでます。私、花の名前にはとんと疎くてどれがどれってさっぱり覚えていないのですが、科学的な描写としては花を花弁とおしべ・めしべに分解した詳細図が添えられていたりして、なるほど違いがあるんだなってのはよくわかりました。もちろん、花や葉の形・色が同じ科に属している種類でもずいぶん違っているので、一目瞭然ではありますが。
ただ、気になったのは描かれているのがほとんど花と葉っぱ。根っこが描かれているのは水耕栽培されたと思われる球根から生えてくるもののみ。やっぱり、目に見えるところにしか感心が及ばなかったのかな。根にもずいぶんとその植物の特徴が出ていると思うんですけどね。

会場の一角にはバラの香りを漂わせるコーナーがあったり、バラをモチーフにしたドレスを展示していたりと、花が好きな人にはかなり楽しめる作りになっているのではないでしょうか。

会期:    2011-05-29(Sun) ~ 07-03(Sun)
開館時間: 10:00-19:00(入館は18:30まで)
        毎週金・土曜日21:00まで(入館は20:30まで)
入館料:   一般1,400円


ということで、しばらくBunkamuraザ・ミュージアムとはお別れです。次は今年の暮れになるみたい。フェルメールだそうです。今から楽しみですね。
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美花選

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  • 作者: ピエール=ジョゼフ・ルドゥーテ
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2010/07/08
  • メディア: 大型本



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  • 出版社/メーカー: アートプリントジャパン
  • 発売日: 2010/09/01
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Les Roses バラ図譜

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  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2008/05/19
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薔薇空間 宮廷画家ルドゥーテとバラに魅せられた人々

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コメント 6

はくちゃん

こんにちは
いつもありがとうございます。
nice! だけでごめんなさい
m(_ _)m

by はくちゃん (2011-06-12 16:51) 

メガネ君

Bunkamuraは改装なんですね。一度クラシックを聴きに
行ったのを記憶していますが最近、渋谷もご無沙汰です。
暮れのフェルメールは楽しみですね。(^-^)
by メガネ君 (2011-06-12 18:27) 

リカ

カメラもインターネットもない時代、とても重宝したんでしょうね。
それにしても絵って…
どうして見たまんまに描けないんでしょう(汗)
七不思議ですww
by リカ (2011-06-13 10:33) 

ぶんじん

はくちゃんさんへ:
まいどどうもです。

メガネ君さんへ:
今日(6/18)から一週間、ドゥマゴ パリ祭をやっているので賑やかですよ。ちょっとだけパリの気分が味わえるかも。

リカさんへ:
直感と認識とは別である、というのはカントの考え方だったかな。
私も絵心がなく、カメラ(写真)に頼る日々です。
by ぶんじん (2011-06-18 09:16) 

TaekoLovesParis

根っこが描かれていない、、なるほどの指摘ですね。
ルドゥーテ展は、このBunkmauraで、一昨年見ました。
内容のわりに入場料が高いという気がしましたが、今回は
どうだったんでしょう。
by TaekoLovesParis (2011-06-20 00:23) 

ぶんじん

TaekoLovesParisさんへ:
前回の(?)、私も観ました。今回、量的には展示数一杯ですね。ただ、ほぼ全てが挿絵なので、似た感じのものが多いかも。
by ぶんじん (2011-06-26 08:36) 

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