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ビブリオバトル首都決戦 at 東京国際フォーラム [イベント]

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「知的書評合戦ビブリオバトル首都決戦」に行ってきました。今年2010年は国民読書年だそうで、そのイベントの一環として「すてきな言葉と出会う祭典―「言葉の力」を東京から―」という展示・イベントが東京国際フォーラムで開催されました。その中の一つがこのビブリオバトル。ビブリオバトルってなに?というのは公式ホームページを見てください。私も初体験だったのですが、簡単に言うと、何人かが順に自分の読んだ本を五分間で書評・説明して、誰が紹介した本が一番読みたくなったかを選ぶ(”チャンプ本”と呼ぶそうです)のだそうです。読書会をゲーム式にして盛り上げようと言うことですね。

さて、私が観覧したのは決勝戦。それまでに各地で予選があり、今日も午前中に準決勝戦があったそうです。それを勝ち抜いてきたのは四人の学生さんでした。イベントの司会はビブリオバトルの提唱者のたにちゅーさんタレントの優木まおみさん。ゲストは作家の東浩紀さん。
さっそく、四人のプレゼンテーションが始まりました。学部の学生では学会での発表などの経験はないだろうに、数百人の観衆を前にしても堂々と語っているのが驚き。最近の若い人たちは物怖じしないんですねぇ。さて、そんな四人が紹介した本は以下の通り。

★一人目の紹介作品は天野祐吉の「広告みたいな話」
十八年前の作品だそうで、広告の移り変わりを通してその時代を映し出そうというもの。生まれた頃の話だろうに、これを読んだ彼(一人目の発表者)はその時代の雰囲気をよく理解できたとのこと。また、最近の著者の作品も併せ読んで、著者が十八年前に予想した未来とのズレを見つけたのも面白かった点だそうだ。

広告みたいな話 (新潮文庫)

広告みたいな話 (新潮文庫)

  • 作者: 天野 祐吉
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1990/10
  • メディア: 文庫




★二人目は「白鯨」
ちょいと個性的なしゃべりをする人で、私は苦手だったが、熱意は充分。
白鯨を追って仕留めることに人生をかけた船長の姿に、人生の運命に立ち向かうことの意味を読み取ったとのことだった。

白鯨 上 (岩波文庫)

白鯨 上 (岩波文庫)

  • 作者: ハーマン・メルヴィル
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2004/08/19
  • メディア: 文庫




★三人目は「スティグマの社会学 烙印を押されたアイデンティティ」
人になじめない自分の性格をこの本が「解説」をしてくれているようで、自分を理解し受け入れられることができるようになった一冊だったとのこと。社会的マイノリティーに関して多くの事例を示していることで、実は何かを抱えていることがない人なんていないんじゃないか、誰もがスティグマ(元は烙印の意味)を大なり小なり持っているんだと気づかせてくれた。

スティグマの社会学―烙印を押されたアイデンティティ

スティグマの社会学―烙印を押されたアイデンティティ

  • 作者: アーヴィング ゴッフマン
  • 出版社/メーカー: せりか書房
  • 発売日: 2001/04
  • メディア: 単行本




★最後は「ファイト・クラブ」
映画にもなった作品。社会から阻害されてつまはじきにされているのに、社会の底辺を支える“人のいやがる仕事”を押しつけられている人たちがいる。それがファイト・クラブに集まる人々。そんな人々のことを描いた話とのこと。

ファイト・クラブ (ハヤカワ文庫NV)

ファイト・クラブ (ハヤカワ文庫NV)

  • 作者: チャック パラニューク
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 1999/11
  • メディア: 文庫




四人四様。どれもなるほどね、と感心することしきり。自分は感動したんだと素直に訴える人もいれば、自分自身の体験をベースにそれを普遍化する形で話を展開する人、そして読み時のポイント・キーワードだけを提示してあとは自分で読んでみようと(暗に)提起する人。それぞれに納得のプレゼンテーションでした。
自分じゃ本屋に並んでいたり、amazonで紹介されていてもなかなか手に取ることのない作品ばかりだったけど、こうやって紹介されると確かに「読んでみようかな」という気になりますね。発表者にとってはより深く読書をすることになるし、聴いている側も読書の幅を広げるチャンスになる。読書会はよくあるけど、こうやってゲーム式にすると取っつきやすいし、なんといっても盛り上がるのがいいですな。
さて、ということでこの四冊(四人)から優勝が選ばれました。どの本が読みたくなったかを観客(私ももちろん一票を持って参加)が、入場の際にもらった団扇(上記の写真)で挙手して決定。優勝は「スティグマの社会学」、そして特別賞が「ファイト・クラブ」でした。
私は四人目の「ファイト・クラブ」に投票。と、一番前の席を見ると、このあと表彰のプレゼンターでもある東京都副知事の猪瀬直樹さんも「ファイト・クラブ」に手を挙げているではないですか。あら、趣味が合いましたね。
そうそう、このイベントは東京都の肝いりでもあったのでした。
ちなみに猪瀬直樹さんもブログに今日のイベントについて書いていらっしゃいます

ビブリオバトル、初体験でしたが楽しめました。優勝した人のプレゼンは確かに良かったんだけど、本当にこんなプチ専門書をみんな読みたいと思ったんだろうか、という素朴な疑問は残ったのですが、まあ場の雰囲気というのはありますからね。三人目の人は淡々としたしゃべりで聴衆を自分の世界にうまく引き込んだと言うことでしょう。読書の楽しみとしては、読み解きポイントだけを提示してあとは自分でどうぞという感じの、四人目の人がうまいなぁと思ったのですが。

「ファイト・クラブ」、映画とは結末が違うらしいし、そのうちに読んでみるかな。



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はくちゃん

おはようございます
(^^)/

by はくちゃん (2010-11-04 09:03) 

カエル

原作と映画だとまったく同じものもあれば違うものもあって
さまざまですよね。
どんな結末なんだろう?
by カエル (2010-11-04 09:07) 

ぶんじん

はくちゃんさんへ:
おはようございます。

カエルさんへ:
そう、気になりますよね。映画との違いを質問された発表者の答えは一言、「結末が違います」。これを聞いたら、そりゃぁ読みたくなっちゃいますよ!
by ぶんじん (2010-11-06 09:57) 

東雲

「ビブリオバトル」・・・
なかなか面白そうな催しですね~!
“読書感想文”は 小学校の頃から書いて(書かされて^^)来ましたが、
5分間という短い時間内で、 伝えたいことがちゃんと伝えられるかどうか、
それも、数百人の観衆の前でですよね?
私には多分無理!尻込みしてしまいますよ・・・^^;
いまどきの若者って そういうのは平気なのでしょうかね?
でも、そういう事を機に 本を読む人がもっと増えて行くといいですね。
by 東雲 (2010-11-06 10:17) 

ぶんじん

東雲さんへ:
そう、こういう機会をきっかけに読書人口が増えるのは大歓迎です。
twitter上で、「五つぶやき以内で紹介」して競い合うなんて言うのも面白い?
by ぶんじん (2010-11-08 23:06) 

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